ID 7799
登録日 2008年 5月28日
タイトル
健全なり木造モーター船
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新聞名
東海新報
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元URL.
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws3607
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元urltop:
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写真:
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気仙沿岸ではほとんど見られなくなった木造モーター船が、今も現役で活躍している。大船渡市赤崎町蛸ノ浦二ノ二、漁業・志田賢太郎さん(80)所有の「松栄丸」(二・一トン、ディーゼルエンジン14馬力)だ。
昭和三十五年のチリ地震津波後に建造した。樹齢百年のスギを使用しており、船体もモーターも「バンバン」だ。
「松栄丸」は、家号「松の下」からつけられた。蛸ノ浦漁港に係留している。
昭和三十五年五月に来襲したチリ地震津波で、それまで使っていた船が流された。
新造船が進水したのは同年九月。自分の山から用材を切り出した。樹齢百年以上のスギ材。養殖イカダもそうだが、年輪が詰まった良材を使ったものは海水に強く、長持ちするという。
当時、志田さん方では鰹節の加工屋もやっていて、鰹節の運搬船としてつくられた。だから当時、湾内で一番大きかった。鰹加工場は市内で四十軒くらい、蛸ノ浦だけでも七軒もあったという。
運搬船として活躍したのは昭和五十年代まで。その後は、カキ養殖に使った。その間、市農協が下船渡~蛸ノ浦間で就航させていた「久美愛丸」が検査整備中は、その代替船として使用されたこともあったという。
昭和四十年代に入ってからFRP船が台頭し、木造モーター船はほとんど見られなくなった。漁業仲間も「湾内だけでなく、ほかの所にもないのでは」と言う。
長持ちの秘訣は、「百年以上のスギ材を使ったこと、年二回の塗装、マメな手入れかな。今でも『バンバン』だでば」と志田さん。「クレモナ」という係留ロープも高価なだけあって丈夫。今でも大切に使っている。
カキ養殖船としての使用は、去年いっぱいでやめたが、「今後は、釣り船か何かに使いたい」と、現役続行宣言。
昨年秋、銚子のサンマ船が入港した時に、船方たちが「今どき木造モーター船、しかもヤロウカジとは珍しいと驚いていた。この夏に大船渡で海フェスタがある。気仙丸もあるが、この船も珍しいので展示したらいいの
では」とニッコリ。
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