ID 665
登録日 2006年 3月30日
タイトル
弱る泰雲寺しだれ桜 立ち入り禁止ゾーン拡大
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新聞名
日本海新聞
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元URL.
http://www.nnn.co.jp/news/060330/20060330009.html
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元urltop:
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写真:
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県の天然記念物に指定されている新温泉町竹田の泰雲寺のしだれ桜が、枝が枯れるなど衰弱し、樹木医による現状調査が行われている。幹周りが西日本一。湯村の春の観光名所になっており、ここ数年見物
客が増加している。名所としてにぎわう半面、調査では木周辺の地盤が踏み固められることが根を弱らせ、枝を枯らす一因となっていることが分かった。「この美しさを後世に伝えたい」-。地元では木周辺の立ち入り禁
止区域を広げ、まもなく迎える花見シーズンに備える。
泰雲寺のしだれ桜は高さ約十五メートル、幹周り五・二五メートル、樹齢は推定約二百五十年。見ごろを迎える四月上旬から中旬にかけては毎年多くの見物客が訪れ、近年ではバスツアー客も立ち寄るほどの名所となっ
ている。
一方で、枝が枯れたり、害虫が発生するなど長年風雪に耐えてきた木も衰弱が目立ちはじめた。昨年秋、台風で樹皮の一部がはがれたことがきっかけとなり、町が朝来市新井の樹木医、宮田和男さん(65)に調査を依頼
した。宮田さんは昨年末、現地を視察。雪解けを待ち、今月二十三日から幹周辺に穴を掘って根の状態を調べている。幹や枝の大きさから本来なら幹から十メートル以上は伸びていなければならない根が八メートルしか
伸びておらず、伸びている根も弱々しいという。根が水分を十分に吸い上げることができず、枝の成長に影響しているらしい。支柱で支えられている枝も多い。
同寺の佐藤文昭住職(33)は「私が生まれる前は北側の枝は幹から十五メートル離れた本堂の屋根にかかるほどだったと父から聞いているが、今はその半分ほど。二十年ほど前は枝を支える支柱もなく、木は自力で枝を
張っていた。木は悲鳴を上げている」と訴え、「たくさんの方に花を見ていただきたいが、次の世代に受け継ぐ宝としてこの木を守っていきたい」と話す。
二十八日には、「但馬巨木保存会」のメンバーが研修会の一環として視察に訪れた。宮田さんは木や根の現状を説明し「一人でも多くの人がこの木にどうかかわっていくかが大切」と保護への協力を呼び掛けた。
「今、できることをしよう」-。にぎわうシーズンを控え、当面の対応として地元・竹田地区のしだれ桜保存会(本多卓雄会長)は、幹周りの立ち入り禁止区域をこれまでより最大で約五メートル拡大。くいを打ち込み、ロー
プを張った。本多会長は「写真を撮られる方の邪魔になるかもしれないがやむを得ない」と話し、理解と協力を求めている。
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