ID 6310
登録日 2008年 2月13日
タイトル
ヤブツバキ(薮椿)
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新聞名
オーマイニュース
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元URL.
http://www.ohmynews.co.jp/photo/20080211/20775
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元urltop:
-リンク切れ-
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写真:
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ヤブツバキは本州、四国、九州に自生する日本原産の代表的な照葉樹です。別名、ヤマツバキ。古来から日本人にはなじみの深い花木です。
夏目漱石は小説「草枕」で、熊本時代に正月を山荘で過ごしたときに見た深山椿(みやまつばき)を描写して、
「あれほど人を欺す花はない。余は深山椿を見るたびにいつでも妖女の姿を連想する。……人に媚ぶる態もなければ、ことさらに人を招く様子も見えぬ。ぱっと咲き、ぽたりと落ち、ぽたりと落ち、ぱっと咲いて、幾百年の
星霜を、人目にかからぬ山陰に落ちつき払って暮らしている。ただ一眼見たが最後! 見た人は彼女の魔力から金輪際、免るる事は出来ない。あの色はただの赤ではない」
といっています。
これほど漱石を魅惑した「深山椿」ですが、不思議なことに植物図鑑には見あたりません。漱石が見たのはヤブツバキではないでしょうか。
ヤブツバキは1月下旬から5月上旬にかけて次つぎと花をつけます。つぼみは萼(がく)に包まれて成長し、5~6枚の花びらをつけます。花の真ん中に雄しべが集まって、茶せんのような形を作ります。その中に蜜がある
ので、吸蜜するメジロの頭は花粉で黄色になります。
ツバキの仲間のサザンカ(山茶花)は花びらがバラバラに散りますが、ツバキは花弁が付け根でつながっているので、散る時は花ごとポトリと落ちます。
ヤブツバキは遣隋使を通じて中国にわたり、さらに中国経由で欧米に伝えられたそうです。近年になって欧米でもカメリア(camellia)の名前で広く人気を呼び、多くの園芸種が作出されています。その数は5000種を超す
といわれます。
九州南部から屋久島にかけてリンゴツバキ(林檎椿)という変種があります。日本海側の多雪地帯にはユキツバキ(雪椿)が自生し、新潟県の県の木に指定されています。ツバキ科ツバキ属。
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