ID 5293
登録日 2007年 11月 7日
タイトル
うどん店女将が歯周病予防にコウヤマキの有効性発見
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/071108/trd0711081155011-n1.htm
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元urltop:
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写真:
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阪神大震災で被災した神戸市長田区のうどん店女将、竹内洋子さん(52)が、歯周病の予防に日本原産の樹木「コウヤマキ」の抽出液が効くことを発見し、抽出液を配合した歯磨き粉を開発した。自己流で編
み出した方法が主治医の目に留まり、大学が委託研究に乗り出したほか、特許も出願。震災で義母を亡くした竹内さんは、歯磨き粉の売り上げを被災者の支援に役立てたい考えで「うどん屋のオバチャンでも被災者の希
望になれるはず」と話している。
竹内さんは平成8年に歯周病と診断された。近所の歯科医院に4年間通いつめ、歯石除去や投薬を受け続けたが、歯茎の腫れや歯のぐらつきなどの症状は改善しなかった。それがコウヤマキの抽出液を綿棒に浸して
歯茎に塗り込んだところ、約1カ月で腫れが引いたという。
発明好きの竹内さんはもともと、震災のショックから立ち直れない義父に若返ってほしいと、コウヤマキを果実酒用焼酎に漬け込んだ自作の抽出液を、育毛剤として使用。育毛効果はゼロだったが、抗菌作用があるの
ではないかと思いついて自分で使ってみたという。
歯科医院へ来る回数が激減したことを不思議に思った主治医が竹内さんから経緯を聞き、大学で科学的に調べるよう進言。神戸薬科大(神戸市東灘区)と大阪歯科大(大阪府枚方市)で歯周病菌の生育を阻害する効果
があることが実証された。
このうち大阪歯科大は、有効成分の特定などさらなる解析をしたいとして、昨年9月から委託研究を開始。大学が企業でなく個人の委託で研究するのは異例で、福島久典教授(細菌学)は「素人なのに着眼点がすばらし
い。歯周病の治療にも役立つ可能性があり、研究対象として興味深い」と評価している。
竹内さんは17年7月に特許を出願。短大ではデザインを専攻し科学の知識はほとんどなかったが、知人の協力でコウヤマキ抽出液を配合したジェルタイプの歯磨き粉と洗口液を開発。「デンタアプローチ」の商品名
で先月から販売を始めた。
竹内さんは夫の利幸さん(55)と結婚して以降、30年間にわたり長田区でうどん店「壽(ことぶき)」を切り盛り。震災では店舗隣の自宅が全壊し、義母の正枝さん=当時(67)=が落ちてきた屋根に挟まれ死亡した。一
命を取り留めた義父もショックで認知症になったという。
竹内さんは「長田はまだ復興途上にあり、震災の涙に浮かぶ街だと思っている。歯磨き粉が売れたら、親を亡くした子供たちを育てるための基金をつくりたい」と話している。
デンタアプローチは、ジェルタイプの歯磨き粉が48グラム入り1500円、洗口液が100ミリリットル入り1200円。問い合わせは、販売元のマーフィーズジャパン((電)078・221・3999)。
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コウヤマキ 日本原産の常緑針葉樹で、漢字表記は「高野槇」。東北地方から九州地方にかけて分布し、高野山の木が有名だったことが命名の由来とされる。生けても枯れにくいため仏前の供花として好まれるほか、耐
水性に優れた木材として木造船や浴槽などにも使われてきた。木の形が美しい円錐(えんすい)形をしており、世界3大造園木の1つにも数えられる。昨年誕生された秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁(ひさひと)さまの「お印」
でもある..