ID 4829
登録日 2007年 9月27日
タイトル
少数民族村の祭りと世界観(IV) 雲南の民族と森林
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新聞名
JanJan
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元URL.
http://www.news.janjan.jp/culture/0709/0709260972/1.php
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元urltop:
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写真:
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村の守護神の祭り1
雲南少数民族の村には、多くの場合、集落と隣接した後方の山に水源林がある。この山を村人は、龍山あるいは神山、この山林を龍林、そこにある巨木を神樹または龍樹と呼んでいる。この神樹には、村を守護する神
(寨神)が宿っていて、この神は最も重要な神であると信じられ、盛大な祭りを行っている。この祭りをジーロン(祭龍)と呼ぶが、タイ語で「大きな祭り」の意味である。
写真1. モウカイ(「孟子の孟に力」海)県曼来タイ族村の龍樹と祭壇。
曼来タイ族村では、村の守護神の祭りを毎年1回、タイ暦の11月11日に行っている。祭りの仕来りに詳しい老人たちは、村人を集落の西北にある小高い丘のガジュマロ樹の前に引率する。この樹木が村の守護神の化
身であり、樹木の前には竹で組み立てた祭壇がある(写真1)。老人たちは祭壇に供物の鶏を置き、蝋燭に火を灯して祈祷を唱え、参加者全員で礼拝する。
一般に仏教に関係する儀式では線香を使うが、自然崇拝の儀式では蝋燭を用いている。儀式が終わると、供えていた鶏を均等に切り分けて参加者全員に配り、それを家に持ち帰る。儀式の間は、集落の周りに縄を回
らして、村を封鎖しなければならない。村人が村の外に出かけること、村の外から人が入って来ることを禁止している。
曼来ハニ族老寨村では、地方神の祭りの3日後に、祭司が1人で村の守護神ラカンの祭祀を行っている。祭司は雄鶏1羽・雌鶏1羽・果物・酒などの供物を持って、村付近の山林にある神樹に行き、神樹の下に供物を捧
げて祈祷している。祭司が儀式を終えて村に帰ってきた後、村の代表者は祭司に謝礼を持って行かねばならない。
神樹のある山林は、村の守護神が所有する神聖な場所であるため、祭司以外の村人は入ることができない。したがって、村人たちは誰も神樹を見たことがなく、儀式の詳しいことも知らされていない。
写真2.
臨滄県ラ(にくづきに昔)東タイ族村の龍樹。 モウ(孟子の孟に力)海県布朗山郷吉良ブーラン族村では、村の守護神をダーバシュアンと呼び、毎年2回、タイ暦4月15日と8月15日に神樹と寨心の前で祭りを行ってい
る。神樹は村から遠く離れた山林にあるガジュマルの大木であるが、村人以外に神樹の位置を話すことは許されていない。また祭司を除いて、たとえ村人であっても祭り以外では、この山林に入ることはできない。
祭りの当日、村人は生の豚肉・野菜・その他の食品と蝋燭、酒などの供物を用意し、寨心の前で礼拝する。その後、祭司の引率で供物を持って神樹の前に行き、供物を捧げて祭りを行う。儀式に間、村は封鎖され、祭り
の参加者以外の村人は、村から外へ出ることができず、田畑に働きに行くことさえも禁止している。
臨滄県章駄郷のモウ(孟子の孟に力)旺大寨村とラ(にくづきに昔)東村に住むタイ族は、龍山にある松樹の巨木を村の守護神として祀っている(写真2)。
この祭りをダンサーと呼び、祭司が中心になり、僧侶が補佐して行われ、成人男性だけが参加できる。モウ(孟子の孟に力)旺大寨村では毎年5回、農暦2月の最初の子日から3日間、水かけ祭りの前、農暦5~6月の種
まき直前の子日、出芽した時、タイ暦の新年直前の子日に、ラ(にくづきに昔)東村では毎年2回、農暦2月と7月の最初の子日に祭りを行っている。
写真3. 臨滄県南楞田ラフ族村の神樹。
臨滄県南美郷南楞田ラフ族村では、村の南側に位置する竹笆山に神林ゴウワンがあり、その山林中の芭蕉樹を守護神ゴワディエとして祀っている(写真3)。
この村の故事によれば、唐時代初期、この村の祖先は大理に居住していた。その後、臨滄県に移住し、バ(むしへんに馬)蟻堆郷を開墾して定住していたが、140~150年ほど前に、回族と耕作地の境界をめぐる争い
が起き、その結果、回族に村が襲撃された。そのため、この地から逃れて南美に到ったが、回族が再び追撃してきたので、ラフ族は芭蕉林の中に逃れた。回族は芭蕉樹を伐採してラフ族を探したが、すぐに芭蕉樹が成長
するので、回族は諦めて引き返して行った。
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