ID 4425
登録日 2007年 8月 7日
タイトル
過去の伐採で枯死広がる 大塔山ブナ自然林
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新聞名
紀伊民報
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元URL.
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=129534
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元urltop:
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写真:
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本州南限の絶滅危惧(きぐ)植物群として県レッドデータブックに記載されている、田辺市と古座川町にまたがる大塔山(1122メートル)山頂付近のブナ自然林(一部国有林)で、枯死する樹木が増えてきてい
る。9年前に無断伐採された所から乾燥が進んでいることが要因だ。新芽が出てもシカの食害に遭って自然回復の見込みがないため、管理する和歌山森林管理署(田辺市新庄町)は、21日に専門家を交えた会議を開き
、本格的な対策に乗りだす。
無断伐採されたのは、頂上西側の「前の川国有林」約0・12ヘクタールと南側の国が管理する「大河奥官行造林地」約0・1ヘクタール。ブナやホルトノキ、アカガシ、ヒメシャラなど数種約400本が切られた。1998年、古
座川町が登山イベントの参加者が歩きやすいよう、ハイキングコースの整備を地元区に依頼したが、区民が道だけでなく頂上付近の見晴らしを良くするために自然林まで伐採してしまったという。
同署によると、伐採された翌年の調査で、切り株から20、30センチの新芽が出ているのを確認した。自然に回復してくるのを待っていたが、切り株から生えた新芽や、若木はシカに食べられ、木がまったく生えていない
状態になった。2005年から現地調査をして対策を考えてきたが、決め手となる方法は見つかっていない。
今年7月中旬の調査では、鶴田和男署長をはじめ、同署職員、紀伊半島の環境について調査保全などに取り組む県自然環境研究会(玉井済夫会長)の会員ら計10人が大塔山を訪れた。
頂上付近は細い木もなくなって芝生公園のようになり、根元から倒れたブナの大木なども見られた。伐採地の周縁で年々枯れ木が目立ってきており、事態は深刻化していた。今調査では生き残った木の位置を確認する
ため、太い木にナンバー付きテープを取り付けた。
今後の対策として、現場とその周辺で種を採集して苗木を育てて植樹する▽近くから山採りした若木を持ってくる▽シカネットを張り巡らす―などを検討している。
同署は「車を降りてから片道3時間の山道を歩かなくてはならず、輸送と費用がネックになってくる。何ができるか専門家の意見を聞きながら考えたい」と頭を悩ませている。
玉井さんは「本州南限のブナ林であるだけに、もともとぎりぎりの状態で生育していたと思う。その森に少しの人為が加わっても全体に影響が及んでいく。林床が乾燥していくため、ブナは周縁から順次枯死していく」と
話している..