ID 330
登録日 2006年 2月19日
タイトル
被爆桜1000本ヒロシマ彩れ
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新聞名
中国新聞
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元URL.
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200602200011.html
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元urltop:
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写真:
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▽平和への思い伝える 原爆の惨禍を乗り越えて今も生き続ける桜の苗木を、広島市内に植える動きが広がっている。市の外郭団体である市動植物園・公園協会(中区)が被爆六十年を記念して企画した。
来年三月末までに、学校や公園に約千本を植えて、広島が背負う歴史と平和への思いを伝える。(筒井晴信) 安佐北区安佐町にある農園。畑の一角約六十平方メートルに、鉢に入った苗木が整列している。高さ七十―
百三十センチ、直径約一センチで、天に向かって伸びる。「多くの人が待っていると思うと、手入れにも気を使うよ」と、管理する三共グリーンの倉本文夫理事長(57)は話す。
▽親木は2本
「親桜」は二本ある。市庁舎(中区)で原爆に焼かれながらも、よみがえって市役所前で今も花を付けるソメイヨシノ。もう一本は中区の江波山で約百六十年を生きるヒロシマエバヤマザクラ。通常五枚の花びらが最多で
十三枚あり、市の天然記念物にもなっている。
枝を採って数センチに切り分け、約二年育てたヤマザクラの台木に接ぎ木。二〇〇四年三月から五百本ずつ育ててきた。早くも昨年、花をつけた木もあったという。倉本さんは「花が咲くたびに原爆について考えてもら
えると思うと、広島人として育てがいがある」と目を細める。
実際に植栽を始めたのは昨年から。「ひろしま八区覧会・八区物館」では、区を通じて申し出のあった十三団体に五十本を提供、公園などに植えてもらった。
▽里親公募も
十月には「里親」を一般公募した。個人、団体合わせて二百十六件の応募があり、三十八人、十一団体に計八十九本を配った。同協会緑化推進課の隅田賢治課長(56)は「予想以上の反応。市民の平和への思いの強さ
を感じた」と手応えを感じている。
応募して苗木を手に入れた安佐南区の無職古川忠雄さん(70)は「休耕田に植えます。看板を付けて、桜のいわれを伝えたい」。南区の無職奥本由利子さん(58)も「被爆桜の生命力を見て、若い人に命について考え
てほしい」と力を込める。共通するのは、「桜を通じて平和の大切さを訴えたい」との思いだ。
今後は市内すべての小、中学校五十三校に計百九十四本を植えるほか、来年度中に安佐動物公園(安佐北区)など市内各地の公園に植えて千本を配り終わる予定だ。隅田課長は「育てる方の平和への思いが、家族や
友人へと広がっていけば」と期待している
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