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ID : 2459
公開日 : 2007年 1月12日
タイトル
アルピニスト・野口健 『魂の森を行け』一志治夫著
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新聞名
産経新聞
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元URL.
http://www.sankei.co.jp/books/ichioshi/070113/ios070113000.htm
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写真:
 
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 学生時代、僕はひたすら登山に熱中していた。山での経験が登山家として環境問題に取り組む今、大きな自信になっている。しかし、本書を読み始めると、第1章からその自信は揺らいでしまった。 本書は「3000万本の木を植えた男」横浜国立大学名誉教授、宮脇昭さんの人生を追ったノンフィクション。
 日本全国、一見、土地本来の森にも見える里山の雑木林などは、燃料や肥料に使うため人間の都合のいいように変えられてきた2次植生がほとんどだったのだ。だが、人が手を加えることができない神社などの鎮守の森には、土地本来の森が生き続けていた。
 今では常識になっている宮脇さんのこの説も、1960年代半ばには、生態学者ですら半信半疑だった。だが現場第一主義を通し、フィールドワークに精通していた宮脇さんは、自然が発しているかすかな情報から、それを読み取ることができた。鎮守の森の重要性を再認識し、その土地、土地にあった森を作り出してきた。地元の方々と協力し、宮脇さんが植えてきた森は海外を含め1200カ所、3000万本にも及ぶ。
 私自身も森本来の姿を取り戻そうと長野県小諸市で森林の再生活動を始めたが、とても難しい。林業としての森作りならば針葉樹を縦、横に決められた間隔で植えていけばいいが不規則な間隔でさまざまな植生を混ぜる自然の森となると話は別だ。東京23区には神社が約800あるが、1つの神社で年間170台分の車から排出される二酸化炭素を吸収するとのこと。さらに、鎮守の森は一般の森の3・3倍CO2を吸収することも分かった。鎮守の森ではクスノキやシイなどの広葉樹が古くからはぐくまれ大きく成長しているからだという。
 環境問題を考えていくのに、大きなヒントを与えてくれた本である
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