ID : 14613
公開日 : 2010年 1月13日
タイトル
魚沼産材100%の家 30社で組合、全国PRへ
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news/20100112-OYT8T00754.htm
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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豪雪に耐えた木 新技術で乾燥・再生
100%魚沼産木材で建設されたモデルハウス(魚沼地域木材普及協同組合準備会提供) 豪雪で真っすぐに育ちにくい魚沼地域の木を、新技術の導入で木材としてもっと活用し、地域活性化や環境保護につなげようと、魚沼市の建築会社や建具店など約30社が「魚沼地域木材普及協同組合」を設置する準備を進めている。昨年には、準備会メンバーによる「魚沼産材100%」の住宅作りもスタート。すでに同市や湯沢町で17戸が販売された。
国産木材は、安い外国産木材に押されて供給減少傾向が続いている。県産材も1997年から11年間で供給量が約2分の1になったが、特に魚沼地域(十日町市、南魚沼市、魚沼市、湯沢町、津南町)は落ち込みが激しく、97年の約2万3000立方メートルが、08年には約8000立方メートルと、約3分の1になった。
背景には、効率的な工法の普及で規格に合った木材以外は使われなくなったことがある。水を含んだ重い雪に押されて根元が曲がった木の多い魚沼産の木材は、断面のサイズがそろった規格材を作りにくく、行き場を失った。
林業が衰退すると、山の所有者にとって間伐が大きな負担。魚沼地域の民有人工林は約2万ヘクタールあり、県によると、毎年半分程度を手入れするのが望ましいが、07年度の間伐実績は約630ヘクタールにとどまり、山林の荒廃が懸念されている。間伐された木のうち、実際に木材として出荷されているのは約2・7%で、残りは曲がっていることなどから「使えない」として多くが山に捨てられているという。
こうした現状を変えようと、メンバーが注目したのが、群馬県前橋市の「EDS研究所」が開発した技術。特殊な炉内でくん煙の熱を加え、木材の組織を変えながら乾燥させることで、曲がった木から作った材木にありがちな、反りや割れ、収縮などの“悪い癖”が大幅に減り、住宅建設に利用できるようになるという。
知人から技術を紹介された松井工務店(魚沼市十日町)の松井洋一社長が中心になって呼びかけ、昨年4月、準備会を結成。捨てられていた木材なども活用し、魚沼産材をPRした家造りを始めた。改良された魚沼産材を全国に販売し、利益を山林所有者へ還元することで山の環境保全にも役立てようという狙いだ。コスト面でも、輸入加工材より家1軒で30万円程度高いが、従来の国産材より安くなるという。
協同組合は2月にも結成される見込みで、準備会では「豪雪を耐え抜いた魚沼産材は、丈夫でぬくもりがある。新技術で生まれ変わった地元の木を広く普及させたい」と意欲を見せている。