ID : 14474
公開日 : 2009年 12月21日
タイトル
森の役割知ってほしい ドングリの森づくりを進める
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新聞名
東京新聞
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元URL.
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20091221/CK2009122102000061.html?ref=rank
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元urltop:
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写真:
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都市と森をつなぎたい-。今年、市立古川小学校(幸区古川町)と連携し、森に植えるドングリの苗を児童に育ててもらう「ドングリ育てたい“いのち(水源)の森づくり”」の活動を始めた。森の恩恵を受ける都市住民を里山や森林保全に巻き込む取り組み。「毎日飲む水を育(はぐく)む森の役割を、農山村の人々との交流を通じて知ってもらい、一緒に保全を考えたい」と話す。 自身が代表を務める特定非営利活動法人(NPO法人)「幸まちづくり研究会」が森林保護のNPO法人などと連携し、ドングリの苗育てから水源の森に植樹するまで四年間のプログラムを提供する。十月には一年生の生活科で、児童と保護者が苗ポット作りを体験。子どもたちはNPO法人スタッフから森の話を聞き、腐葉土と土を混ぜてドングリを埋めた。 「土に触れる子どもたちは本当に楽しそうだった。体験することで、いのちの大切さが分かる。森づくりは人づくり、と思う」。児童は四年生になるまで、ドングリの成長観察や、森に関する勉強を続ける。 JR新川崎駅近くで一九八四年に廃止された新鶴見操車場。その跡地にドーム施設を建設する市の計画への疑問が、森づくりへと続く活動の出発点だ。白紙撤回を求める運動にかかわった人々とともに九六年、研究会の前身となる組織をつくり、活動の中で地域の歴史を調査。一帯が昔、モモやナシの産地だったことを知った。 「操車場建設で破壊された田園風景や地域コミュニティーを取り戻したかった」 財政難などでドーム計画は頓挫し、操車場跡地では現在、市が大学や企業の研究開発拠点化を進める。その一角に、小さな雑木林がある。市民提案による“都会の森”だ。周囲には池や広場、農園が広がり、季節ごとに花が咲く。付近の住民が思い思いに散策し、時には子どもたちの農業体験の場ともなる。 「多くの市民、団体の協力があったから、ここまでこれた。森の再生は、コミュニティーの再生そのもの」。植林から九年、順調に育った雑木林にかつての田園風景を重ねた。 (加賀大介)<プロフィル> 1955年、1月生まれ。新潟県上越市出身。結婚を機に、78年に川崎市に転居し、現在は幸区在住。91年から市議を2期務め、自然や生活環境を守る活動に力を注いだ。学校が外部と連携し複数年度にわたる授業を行うケースは珍しいが、「意義を理解してもらえた」。他の学校への広がりを期待している。