ID : 11503
公開日 : 2009年 4月25日
タイトル
森林保全活動、企業に広まる
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新聞名
山梨日日新聞
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元URL.
http://www.sannichi.co.jp/local/news/2009/04/26/2.html
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元urltop:
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写真:
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県内整備面積5年で10倍
不況が冷や水、撤退も 森林が県土の約8割を占める山梨県内で、企業や各種団体が森林保全活動に協力する動きが活発になっている。県などによると、3月末現在で県内外の42社・団体が34カ所で活動を展開。
面積は計423ヘクタールと、5年前の約10倍に広がった。自然保護意識の高まりを背景に、社会貢献でイメージアップを目的に取り組む企業も目立ち、森林を仲介するため2年前に発足した「やまなし森づくりコミッション
」の活動も軌道に乗りだしている。一方で、企業の倒産により契約期間を残したまま活動を打ち切るケースもあり、景気悪化の影響も出始めている。
17日、水源林に指定されている山梨市水口の市有林に、ヘルメット姿の男女30人が集まった。「もっと水平にのこぎりを入れて」。峡東森林組合のメンバーからアドバイスを受けながら懸命にのこぎりを動かし間伐作業
に当たる。
参加者はライオン(東京)の社員。同社は2006年から水質保全を目指して水源涵養かんよう活動をスタート。ボランティア休暇制度を活用して約65ヘクタールの森林で年3回、間伐や下草刈り、植樹を行っている。昨
年度までに延べ180人が参加した。
市内の児童とともに植林をしたり、ほうとう作りを体験したりして地元と交流も深めている。ライオンCSR推進部の竹内克之さんは「間伐した木材から社内で使う紙を生産している。社員の意識改善だけでなく、環境保
護に積極的な企業としてPRにもつながっている」と成果を強調する。
売り手市場に
県などによると、県内で企業や団体が森林整備を本格的に始めたのは1993年ごろから。2004年ごろから急速に増え、県や県緑化推進機構などが07年8月に立ち上げた「やまなし森づくりコミッション」設立後も、新
たに15カ所で活動がスタートした。
コミッション設立当初は、「企業などにスタッフが出向き、森林整備を提案して契約にこぎつけるケースが多かった」(担当者)。だが現在は企業から直接コミッションに依頼が来るケースが大半を占め、「買い手市場か
ら売り手市場に転換した」(同)という。
県は、所有者の高齢化などを背景に手入れが行き届かない山林で企業が間伐や下草刈りを行うことで、「土砂崩落防止や水質保全などに果たす役割は大きい」(森林環境部)と活動の広がりを歓迎する。
メリット強調
一方で、今年3月には初めて、企業が活動から撤退した。07年から北杜市内の森林で整備していた都内の不動産会社が08年9月に経営破綻はたん。13年まで残っていた地元財産区などとの契約を解除した。
同コミッションによると、実質的な活動は数回しか行われなかったという。森林はコミッションを通して、希望企業を再度募ることになったが、整備に関する協定に加わった北杜市は「本格的な整備がこれからという段階
だったので残念。1日も早く次の企業が見つかってほしい」としている。
同コミッションの中山基事務局長は「企業などのボランティアに頼る部分が大きく、景気動向が左右するのは仕方がない」としながらも、「社会貢献活動と企業運営は別との認識で、現在も整備に意欲を示している企業
はある。イメージアップ効果などメリットを強調し、活動がさらに広がるように努める」としている。