ID : 10097
公開日 : 2009年 1月10日
タイトル
しなの見聞録:利用広がる、まきストーブ 森林保全に効果も
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/nagano/news/20090111ddlk20040017000c.html
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元urltop:
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写真:
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南アルプス山ろくの大鹿村の村有林で、このほど開催された間伐木を採集するイベントに、多くのまきストーブを使っている人々が参加した。化石燃料を使わず、森林保全にも役立つため、県内でも愛好者が
増えているというまきストーブ。魅力の一方で、まき入手の苦労など課題を探った。【仲村隆】
12月初旬、大鹿村の林道沿いのアカマツ林に十数人が集まった。参加者らは手にチェーンソーなどを持ち、間伐されたアカマツやヤマハンノキの丸太を適当な長さに切り、手分けして用意した軽トラックに積み込む作
業に汗を流した。
県下伊那地方事務所主催のイベント「“薪(まき)取り”in 南信州」には、まきを求める参加者が地元下伊那郡だけでなく、飯田市や上伊那郡からも集まった。同事務所が同様のイベントを開催するのは3回目。里山保全
に貢献でき、まきを得られるとあって参加者が毎回増えている。
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最近、まきストーブはデザインに優れた輸入製品が増え、地球温暖化防止にも役立つなどの観点から見直されつつある。
販売を手掛ける飯田市の村沢産業の村沢英彦社長は「若い人たちが家を新築する際などに設置するケースが増えている」と言い、まきストーブの輸入卸会社「ファイヤーサイド」(駒ケ根市)も「この5年間で販売実績
は右肩上がり」と言う。
また、地球温暖化防止対策の一つとして飯田市などで助成金を出し、行政が後押しする動きもある。
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一方、愛好者の頭を悩ませるのがまきの入手。中型のまきストーブでも1日、5、6本入りのまき束(数百円)が数本必要で、高いコストがかかる。同地方事務所のイベントに参加した飯島町七久保の畠中伸久さん(58)は
「知人は購入に頼ったら月額4万円もかかった。自前でまきを手に入れる工夫が必要」と話す。
大阪府から飯島町に移ってきた畠中さんは、近くのIターン仲間で、まきを手に入れるためのグループを作った。伐採が必要な古いリンゴやナシの木の情報を得るため果樹農家とコミュニケーションを取ったり、付近の
里山での間伐作業に参加したりと“工夫”を欠かさない。
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同事務所は今回のイベントを通じて、愛好者らが里山の整備や山林の獣害防止のために労力を提供し、代償としてまきを得られる仕組み作りを模索する。
将来の方向性について、同事務所林務課の春日嘉広係長は「まだ試みだが、県の重要課題である山林保全にも協力してもらえるような方向に持っていきたい」と話す。
まきストーブの普及が地球環境に優しいというだけでなく、愛好者らが山林保全にどう一役買っていくか注目されている。