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ID : 9409
公開日 : 2008年 11月19日
タイトル
進まぬ森林環境税議論、森林保護に不安も
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/region/chubu/yamanashi/081119/ymn0811190228000-n1.htm
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写真:
 
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富士山や八ケ岳など四方を山に囲まれ、森林比率78%と全国5位の山梨県。美しい景観だけでなく、ミネラルウオーターの全国シェアも1位(約40%)で、おいしい水をはぐくんでいる。地球温暖化の問題も あって、県民らから薄く広く課税する森林環境税を全国30県(来年度開始の1県含む)で導入。各地で森林整備に力を注ぐが、山梨県では同税の議論は始まってもいない。“森林県”にもかかわらず、なぜ、取り組みが遅 れているのか。状況を探った。(花岡文也)
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 県が各分野の環境専門家を集め、今年度に発足した「環境やまなし創造会議」。9、10月に開かれた会合では森林環境税などについて議論され、「林業の不振や担い手不足で森林荒廃の進行が懸念され、税導入など の検討が適当」との意見を取りまとめた。
 県によると、森林環境税は、平成15年4月に始めた高知県を最初に今年4月の長野県、来年4月開始の愛知県を含めて30県が導入。県民1人あたり400~1000円、法人から県民税の5~10%を超過課税するケー スが大半で、税収は1・7~40億円に上る。その分を、森林整備などに充てる仕組みだ。
 一方、一般税収でまかなう山梨県は、今年度の森林・林業関係予算が約161億円。林野庁統計で県有林割合が全国1(48・6%)を占める半面、国が整備する国有林は1・4%で、「他県以上に森林への県の負担が必要 になっている」(県職員)という。
 明治時代、県内で相次ぐ大水害の被害を知った天皇が御料地を下賜された。県有林が多い理由の一つだが、県民全体で負担する税導入について、横内正明知事は慎重姿勢を崩さない。
 「森林環境税は30県で導入しているが、本県は上流県で、下流で水を使っている県も受益は生じている。ある段階では具体的検討が必要かもしれないが、県民の理解も求めていかなければいけない」と語る。
 さらに、県が新税導入を積極的に打ち出せない理由に「ミネラルウオーター税導入の失敗」がある。
 県は平成14年から、県内で採取されたミネラルウオーターへの課税を検討。しかし、ミネラルウオーター業界からの反発に加え、18年7月に県の有識者検討会が「工業用地下水は機器洗浄などで使う量も多く、1・3% しか利用していないミネラル業界だけに課税できない」と結論。前知事から引き継いだ事項とはいえ、横内知事が昨年6月県議会で同税の「断念」を発表する経緯もあった。
 しかし、こうした県の姿勢に、森林関係31団体でつくる「県林業団体協議会」は、「林業衰退で私有地は間伐などの手入れが行われていない場所が多く、県有林もそれなりの整備にとどまっている」と指摘、森林環境税 導入を訴える。
 これに対し、県は「公益的機能のある私有林を公的に整備する制度創設や、ボランティア活動を希望する企業やNPOと森林所有者を仲介する『やまなし森づくりコミッション』を作ってきた」と成果を強調しつつも、費用 面の充足については、口をにごすばかりだ。
 こうした中、県内最大のミネラルウオーター産地、北杜市は4月、県に先んじて「環境保全協力金制度」を新設、すでに企業と個人の10団体から約8600万円が集まった。市担当者は「税収だけでは森林整備に足りない 。使い道を検討委員会で決め、市有地や財産区の森と水を後世に残すため活用したい」と話す。
 横内知事は11日の記者会見で「景気の落ち込みで、前年税収の1割に当たる100億円が減る」との見通しを発表。「県民の多くは森林の現状を知らず、生活にすぐには影響しない森林整備費が減らされる恐れがある」 (森林関係者)と不安の声が広がっている。
 横内知事は県民に森林の現状を分かりやすく示しつつ、森林環境税について、明確な方向性を示す時期にきているといえそうだ。