ID : 8160
公開日 : 2008年 11月 5日
タイトル
間伐材を活用 パン工房、薪窯の燃料に
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20081105ddlk13040286000c.html
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元urltop:
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写真:
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<貢献人(こうけんびと)たち>
◇間伐材を活用 パン工房、薪窯の燃料に
石造りの薪窯(まきがま)から焼きたてのパンが次々と取り出される。青梅市の薪窯パン工房「木の葉」。オーストリアに伝わる昔ながらの窯を再現してこの春オープンした。窯の横に積み上げられた薪は近くの「青梅の杜
(もり)」から出た間伐端材だ。
夜明け前から約30キロの薪を燃やし、パンはその余熱で焼く。「熱がじっくりと伝わるせいか皮はぱりっと、中はふっくら焼き上がる。電気のオーブンに比べて省エネだし、CO2(二酸化炭素)も少ない」とチーフの高橋み
どりさん(58)は話す。工房の建材や併設のカフェの椅子、テーブルなども間伐材を使用。暖房や給湯の一部にも間伐材をくべた薪ストーブを活用する。
工房を運営するのは株式会社「多摩農林」。市内に広がる約375ヘクタールの青梅の杜(民有林)の管理や造林事業などを86年から手がける。9割がスギやヒノキなどの針葉樹の人工林で、5人の作業員が整備に従事
する。今年5月には「持続可能な林業を行っている」として、森林管理協議会(FSC、本部ドイツ)の認証を取得した。全国で25番目、都内では初めてだ。
「でも、9割が針葉樹というのは森としては不自然なんです」と事業課長の高田衛さん(51)は言う。「生物の多様性に富む里山の復活を」と地元の環境NPOと協力し、一部をコナラなどの広葉樹林に切り替えるプロジ
ェクトを昨年末から本格化。一方で、森林整備で大量に出る間伐材の活用に本腰を入れた。
「初めは放置していたが、それではもったいないと、木を運ぶための山道をつくり、間伐材を市場で売るようにした」と森林管理計画担当の古賀弘明さん(50)は説明する。それでも曲がっていて使えない木や端材が出
る。「薪にしてパンを焼いてみよう」とのアイデアがパン工房の開設につながった。
今年度は約3000本の間伐材を売却する計画で、「環境問題の深刻化を背景に、これからは間伐材が見直される」と古賀さん。都心から電車で1時間余の東京の森で、持続可能な林業を目指す活動は進む。【