ID : 7105
公開日 : 2008年 4月 9日
タイトル
森林内の測量、誤算大幅縮小 信大と測量会社が技術確立
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新聞名
信濃毎日新聞
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元URL.
http://www.shinmai.co.jp/news/20080409/KT080408ATI090010000022.htm
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元urltop:
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写真:
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信大の宮崎敏孝教育特任教授(65)=元農学部准教授=らが測量会社と共同で、森林内での位置を誤差数センチ以内で特定できる測量技術を確立した。森の中では枝や葉が邪魔になり、衛星利用測位シ
ステム(GPS)を使っても数メートル以上の誤差が生じるという。宮崎教育特任教授は「民有林の境界をはっきりさせることで、森林整備の促進にもつながる」と話している。
測量会社ジオネット(横浜市・長谷川博幸社長)と共同開発した技術は、国土地理院(つくば市)が地殻変動の監視用に全国約1200カ所(県内35カ所)の電子基準点で常時受信しているGPSのデータを、携帯電話や衛
星電話で収集。森林内でアンテナを立てて受信したGPSのデータとパソコン内で突き合わせ、補正する仕組みだ。
県は本年度から「森林づくり県民税」を導入、間伐などを進めているが、長い間に所有の境界があいまいになった山林も多く、整備の障害になっている。県諏訪地方事務所は試験的にGPSを使って森林内の境界確認を
行っているが、「GPS受信機だけだと、平地や尾根で2-3メートル、谷では10メートル以上もの誤差が生じる」難点があった。
宮崎教育特任教授らによると、06年9月から今年3月まで計8回、新たな技術を用いて実験した結果、緯度、経度、標高すべてでデータのばらつきが1・3-8・8センチに収まった。「正確な測量は境界画定だけでなく、
災害発生の危険が高い場所の特定などにも有効」と話す。
2004年度からGPSなどを利用して全国の土地境界を確定する「地籍調査」を進めている国土交通省は「電子基準点を使った計測の例は聞いたことがない。精度の高い情報が得られれば、地籍調査の上でも有効かも
しれない」(国土調査課)としている。