完成したのは木造の集合住宅3棟で、総戸数20戸、延べ床面積1356平方メートル。工事費は約2億9900万円。敷地は県有地3850平方メートル。
3LDKメゾネットタイプ(82・8平方メートル)六戸の2階建てが2棟と、1LDK(43・8平方メートル)八戸の一部2階建てが1棟で、同日は市町村の建設関係者ら約20人が見学した。
工法は、地元の気仙杉など県産材を多用した大断面集成材パネル工法を採用。間伐材などを活用し、二酸化炭素の排出削減と間伐促進を図った。
設計は、鳥が飛ぶように各戸をずらして配置する雁行(がんこう)構造とすることで、世帯ごとの独立感と採光、通風を確保。軒を長く作ったり、風の通り道の風楼を設けたりして、冷暖房のエネルギー削減を図った。
全戸に雨水タンクが設けてあり、雨水を洗車や散水に利用できる。庭園灯には太陽光発電を採用した。街路樹には北限の気仙茶を植え、茶摘みなど新たな地域コミュニティーの創造を目指した。
15日は午前10時半から一般を対象とした見学会を開催。4月中旬から入居者の募集を開始し、5月中旬から入居が始まる。家賃は入居者の所得などに応じ、月額2万―8万円となる見込み。
見学した花巻市の漆沢清孝建築住宅課長は「木造の集合住宅は地元産材を活用でき環境にも優しいが、隣家の音が響くなど課題も多かった。今回は雁行構造にしてプライバシーを守っており、今後の市営住宅建築 の参考にしたい」と話していた。