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ID : 6071
公開日 : 2008年 1月23日
タイトル
環境保全としての林業を見直...
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新聞名
オーマイニュース
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元URL.
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080122/19975
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写真:
 
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私は林野庁と文部科学省、国土緑化推進機構、樹木・環境ネットワーク協会の4者からなる実行委員会が実施するプロジェクト「森の聞き書き甲子園」の一環として、兵庫県丹波市の林業家・荻野光蔵さんの仕 事現場を訪問した。

里山保全に取り組む学生。枝打ち作業は過酷だ(撮影:上杉幸憲) 夏のある日、荻野さんの案内で山林の中に入っていった。そこには、見るも無残な状況があった。山林は荒れ果て、見渡す限りの倒木が広がっていた。 太陽の光が地表まで届かず、うっそうとしていた。
 この周辺の山林の多くは、採算が取れずに管理が放棄され、手放されてしまったという。いまではベテランの林業家でも、山中ではデコボコの斜面に苦戦し、足を踏み外してけがをすることが起こり、時には自分のいる 位置がわからなくなって遭難することもあるという。
 林道を走っている時にも、土砂崩れの現場を幾度も目にした。確実に山の地力が低下している。「ワシが若いころには、この辺でたくさんのマツタケが採れたもんだ」と荻野さんは何度も私にいわれたが、到底信じられ ないものだった。マツタケが採れる赤松の山林は、定期的な下草狩りや間伐、伐採などの森林管理が行われないと、マツタケの菌糸が育たないのだという。
日本の林業を見直そう
 2年前の夏、作家のC.W.ニコル氏に案内していただき、長野県黒姫で見た白樺(しらかば)林は、丁寧にすみずみまで整備され、地表まで太陽がいきわたり、下草が青々と生い茂っていた。川べりにはたくさんの山野草 が見ごろを迎えていた。アルプスの雪解け水が集まってできた小川には、たくさんの魚が泳いでいた。近くの農家の人に聞くと、ニジマスの稚魚だという。ニジマスはきれいな水の場所にしかすめない。私はあの光景が当 たり前だと思っていた。
 芝浦工業大学で土木工学を学ぶ中村元哉さん(21歳)は、C.W.ニコル氏の故郷・ウェールズのアファンの森で自然保護官のボランティアに取り組んできた。美しい森林を守るためには、地味な間伐作業や枝打ち作業が 不可欠だ。彼は英国で森林保全を学び、その経験を生かして日本に帰国後、環境保護活動に取り組んでいる。「将来は日本の土木技術を生かして、途上国の現場で環境保全にかかわりたい」と目を輝かせている。
 美しい山林には、多くの費用と労働力が必要だ。とはいえ、近年では国産材の大木が多く育ってきている。国産材は外国材と比べて価格は割高であるが、日本の林業と森林保全のためにも国産材の普及と理解を広めな ければいけない。「外材のほうが安いから」という理由で自国の林業を軽視する国家は、必ずそれ以上の報いを受けることになるだろう。環境問題が取りざたされる中、日本の林業に関して見直す必要がある。
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