v10.0
- ID:
-
30666
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 0612
- 見出し:
- あぶくま抄(6月12日)
- 新聞名:
- 福島民報
- 元URL:
- http://www.minpo.jp/news/detail/2014061216227
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- ●と書いて「ブナ」と読む。ユネスコのエコパーク登録を見込む只見町の対象地域を代表する落葉高木だ。漢字は、価値の無い木-の意味を当てたとされる。
用材として扱いが低かったためだ。乾燥技術が確立されるまでは腐りやすく、加工後に曲がりがしばしば生じた。戦後は「ブナ征伐」と称して林を根こそぎ伐採し、杉などを植える事業が進められた。しかし、落ち葉や実が森の生き物を支え、水源になるなど、環境保全に果たす大切な役割が明らかになった。
保護活動が各地で相次いだ。
「オモノキ」の別名を持つ。〈母を意味する朝鮮語に由来するといわれる古語「オモ」による…〉。語源研究者・深津正さんは推測する。奥只見で原生林の大木に圧倒された思い出に触れながら、〈「森を育む母なる木」として親しみ、尊んだ故の言葉と解したい〉(東京書籍刊「木の名の由来」)。
北海道黒松内町では、ブナの表記として「◆」が使われる。自生北限となる町内の林が伐採の危機に何度か見舞われた。貴重な木-との思いを込めているという。エコパークは人と自然の共生を目指す取り組みだ。ブナにとって人間の営みは無か、貴か。逆に問われる。
※●は「木ヘン」に「無」
※◆は「木ヘン」に「貴」
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