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- ID:
- 30366
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 0428
- 見出し:
- フジ再生 熱意咲く 足利の樹木医 愛知で貢献
- 新聞名:
- 東京新聞
- 元URL:
- http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014042802000209.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 栃木県足利市「あしかがフラワーパーク」の樹木医の助言が、愛知県江南市の曼陀羅(まんだら)寺のフジを救った。寺は名所として広く知られるが、十年前は危機に直面していた。年々短くなる房、まばらになる花びら、減っていく観光客。悩んだ担当者がかけた一本の電話が、再生への道のりのきっかけに
なった。 (井上峻輔)
「またか」。二〇〇四年五月、「あしかがフラワーパーク」園長の塚本こなみさん(64)は受話器を持ってため息をついた。「フジの再生に協力して」との頼み。樹木医としての腕を見込まれ、そんな依頼が全国から来る。
「多忙なので無理です」。塚本さんの返事に、江南市公園担当主幹だった石川勇男(いさお)さん(62)=現副市長=は落胆した。しかし、簡単に諦めるわけにはいかなかった。
曼陀羅寺のフジは一九五三年に植えられたが、九〇年代後半から徐々に発育が悪化。素人ばかりの市職員や住民には理由が分からず「幹にどぶろくを掛ける」などの前近代的な対処法を繰り返すばかり。困った末に白羽の矢を立てたのが塚本さんだった。
何度、電話をしても、つれない返事を繰り返す塚本さん。意を決した石川さんが三カ月後、フラワーパークを訪れると、塚本さんが手掛け「世界一」と言われるフジがあった。「こんな藤棚は塚本さんしかつくれない。ぜひ力を貸して」。栃木まで来た石川さんの熱意が塚本さんを動かし「一度、見るだけ」との言
葉を引き出した。
曼陀羅寺を初めて訪れた塚本さん。一目で「木の数が多すぎる」などの問題点を見抜いた。多ければ多いほど良いと、やみくもに増やされた本数は百五本。一本当たりのスペースが狭く、発育を妨げていた。
〇六年、塚本さんの助言を基に三年がかりの再整備が始まった。藤棚の広さを二倍にして、本数は半分の六十本に。品種ごとにエリア分けし、見物客が根を踏まないように木製デッキを設置。生育のために棚の幅を四メートルから十五メートルに広げ、難しい剪定(せんてい)のタイミングも塚本さんが指導
した。
すぐに効果は表れた。発育は年々良くなり、一メートルを超える房がいくつも見られるようになった。評判は上向き、来場者数は整備終了後の一〇年の三十四万人から、一三年は四十七万人に。全国的な知名度を誇れるまでに回復した。
今年もめぐってきたフジの季節。二十六日に曼陀羅寺を訪れた塚本さんは、藤棚を見上げ「あのころと比べると別世界。地元の人の熱意があったからです」とほほ笑んだ。
<曼陀羅寺とフジ> 曼陀羅寺は14世紀前半、後醍醐天皇の詔勅で建立されたと伝わる名刹(めいさつ)。隣にフジの名所「曼陀羅寺公園」があり、早咲きから遅咲きまでさまざまな色の約60本が咲く。公園では5月6日まで「藤まつり」が開かれている。アクセスは名鉄名古屋駅から名鉄犬山線で江南駅へ 窪田さんは過去にピンクと黄色の実を付ける2種類のナナカマドを見つけ、2006年2月にはピンクの実を付けるナナカマドを「峰仙(ほうせん)」、黄色の実のナナカマドは「黄鐘(おうしょう)」として品種登録し、組織培養による増殖法も確立した。
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