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- ID:
- 30289
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 0424
- 見出し:
- 「桜」による日中友好(上海)
- 新聞名:
- 日本商工会議所
- 元URL:
- http://www.jcci.or.jp/news/trend-box/2014/0424151703.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 桜の開花に合わせるように3月28日から上海植物園の花展が始まった。上海植物園は、上海市の中心から南西部に位置し、1974年に建設され、その広さは約82ha(東京ドーム約20個分)の国家級のレクリエーション・スポットとして、花の季節には多くの人が訪れている。園内には数本から数十本ずつ桜の
木が植えられているスポットが何か所かあり、開花とともに写真撮影対象の一番人気となっている。 また、桜で有名な上海市内の顧村公園は、3月下旬の週末には、花見に訪れた人たちでラッシュアワーなみの人混みとなったそうである。
桜①.jpg
桜②左.jpg
桜③右.jpg
上海植物園入口(上)と園内の桜のみどころ(左下・右下)
このように桜の花は、中国の人たちにも大変好まれており、桜の植樹や観桜会を通じた日中交流も多く行われている。上海には、日本に留学経験のある中国人の組織として、留日同学会という団体がある。入会資格が、日本の大学で博士号か修士号を取得していることが原則であり、現在の会員数は1,30
0人を超えている。彼らも、桜の花が好きであり、日中友好を促進するため、数年前から不定期ではあるが、留日同学会と上海日本商工クラブの合同で市内の魯迅公園に桜の植樹を行っている。今年2月22日に実施された植樹では、公園が工事中にも関わらず、数十名が参加して、10本の桜を無事に植え
た。なお、魯迅公園では、我々の桜植樹の際に、我々が植えるのと同じ本数の桜を植えてくれており、今回の合計20本と合わせて、これまでに約110本の桜が植えられている。
また、江蘇省無錫市では、さる3月29日から「中日韓花見ウィーク」と題して、3カ国の友好を促進するイベントが開催された。無錫市の太湖(中国で三番目に大きな湖)湖畔の公園に植えられている3万本の桜は、日本の民間団体が20数年前に日中友好のために行った桜の植樹に端を発するもので、今で
は無錫市の日中友好のシンボルとなっている。
桜を植える留日同学会代表(左)と当クラブ代表(右)
一方で、桜をめぐる友好イベントも、一昨年の日中関係悪化以降、開催できないこともある。本商工クラブの閔行地域連絡会では、日系企業の中国人従業員を招いて毎年花見会を開催していたが、昨年に続いて今年も中止となった。今年の開催準備にあたって、参加する日本人と中国人の数百名全員の
名簿を提出するよう当局の指導があり、開催直前では現実的に対応できないことから、やむなく見送ることになった。当局側では、日中両国の人々が大勢集まるイベントで、不測の事態が起こることを心配して、名簿を要請してきたと思われるが、これまでも多くの中国人従業員が楽しみにしていたイベントなの
で、中止となったのは残念である。
日中友好を具現化する方法として、桜の植樹というのは大変良いツールであるが、日本側だけの思い入れで、中国側の事情を考慮しないと、桜は日本を代表する花だけに、日本を押し付けている印象となり、思わぬ反発を招く恐れもありそうである。やはり日中友好の最も効果的な方法は、両国民が実際
に顔を合わせて対話することであり、その先に桜を通じた交流も成り立つのであろう。
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