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- ID:
- 29341
- 年度:
- 2013
- 月日:
- 0102
- 見出し:
- 報恩寺に残る黄金伝説「寺のイチョウの木の下に百尋の金の鎖」
- 新聞名:
- 両丹日日新聞
- 元URL:
- http://www.ryoutan.co.jp/news/2014/01/02/007399.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 日本には徳川家や明智光秀、豊臣秀吉などにまつわる埋蔵金伝説が各地に残るが、福知山市報恩寺地区にも似たような言い伝えがある。「葛尾にあるお寺のイチョウの木の下に百尋(ひろ)の金の鎖が埋まっている」-。文献や資料に記述があるわけではないが、地域の高齢者のなかにはそんな心躍るよ
うな言い伝えを知っている人がいる。
■地域の高齢者が記憶■
百尋の「尋」とは長さの単位で、大人が両手を広げた程の広さを示す。一尋はおよそ1・8メートルで、百尋は180メートルととてつもなく長い金の鎖だ。葛尾とは報恩寺の山中の地名を指す。寺は葛尾山福性寺。現在は同じ報恩寺の別の場所へ移転している。
地域活性化グループ・笹の雫の会の会長、平石幸一さん(77)は父親から、葛尾に行くたびによく聞かされていて、大きなイチョウの木の株を見たことがある。
事務局の栗林拓爾さん(76)も、この言い伝えを記憶している。小学生のころ、地域のおじいさんが、ありかとされる山によく行っていたらしい。
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金の鎖のことはすっかり忘れていた2人だが、昨年のグループの新年会の場で、酒量が増えていくうちその話題が持ち上がった。
「景気が悪いなあ」「何か金もうけになることないか」と笑い話をしていたところ、「百尋の金の鎖を見つけよか」と盛り上がり、2月に葛尾の寺跡へと向かった。
■寺跡で目印探すも未発見■
平石さんは、父親に連れられ寺跡の脇道を通って行き、炭焼きの手伝いをしていた。大きなイチョウの木の株があったことを記憶している。
一方、栗林さんは小学生のころ、寺跡周辺でアケビ取りなどをしたことがあるから、場所には目星がついていた。
その場所の周辺で1時間ほど探し、石垣や割れた瓦などは発見したものの、イチョウは見つからなかった。
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同寺は1930年(昭和5年)、当時の建物をほぼそのまま現在地に移築した。言い伝えについて現住職の桐村正昭さん(58)は「聞いたことがありませんねえ」という。
桐村さんは葛尾にあったころの寺の写真を保管している。そこには瓦ぶきの本堂の前に、背の高いイチョウの木が確かに写る。
現在の同寺にも大きなイチョウの木がある。葛尾にあったときのイチョウを挿し木するかして、今では見上げるほど成長している。
金の鎖は、誰が埋めたのかなど、背景は不明のまま。今も山中に眠っているのか、いないのか。真偽も含めて分かってはいない。
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