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- ID:
- 28287
- 年度:
- 2013
- 月日:
- 0808
- 見出し:
- モモンガの森から:研究室だより第1部
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://mainichi.jp/area/tottori/news/20130807ddlk31040508000c.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 千代川源流近くに位置する智頭町芦津地区の集会所の隣に、地域住民や、都市部から訪れる人たちのいこいの場所として、入浴施設ができたのは2011年4月のことだ。県産材を100%使用することなどを条件とした県の「緑の産業再生プロジェクト」を活用し、地域の森林を管理する財産区が費用を捻
出した。
鳥取環境大の小林朋道教授(54)は09年から芦津地区を拠点に生態調査を続けている。杉の人工林を好み、巣材に杉の樹皮を使うニホンモモンガの特性から、林業と野生動物の共生と、地域への利益還元を模索する「モモンガプロジェクト」を提唱してきた。
入浴施設は住民対象の愛称公募を経て「ももんがの湯」と名付けられた。五右衛門風呂と大型風呂の2種類があり、毎週土曜には町外の来訪客も利用できる。土曜以外も予約があれば開放。小林教授も「モモンガも杉の香りに囲まれて休息する。人間も杉の香りがする風呂でいやされる」と命名に全面的
に賛同した。
燃料には地区の二十数人が年に2、3度実施している杉林の間伐材や除伐材を使用する。施設を管理する芦津区の武田健一区長(57)は「湯が柔らかいのが特徴で、町が提唱する『森林セラピー』で全国から地区を訪れる人からも好評です」と話している。
現在のところ、プロジェクトの大きな柱となっているのは、ももんがの湯とグッズの販売、エコツアーだ。グッズは杉材を用いたモモンガの置物や弁当箱、絵はがきなど約30種類。インターネット上のほか、イベントで設置したブースで販売し、収益の一部を地域の人たちに還元する仕組みを目指している。
グッズの一つとして「モモンガパン」を提案したのは、和歌山市の実家がベーカリー店を経営する同大環境情報学部4年の上田翔太さん(21)。上田さんは昨年夏から試作を繰り返し、バターロールの生地にモモンガの焼き印を押した現在の作品にたどり着いた。ドラム缶を使った搬送可能な窯も完成し、地
区で開いたイベントでも好評だった。
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