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- ID:
- 34415
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 1207
- 見出し:
- マテリアル利用とエネルギー利用の競合
- 新聞名:
- 環境ビジネスオンライン
- 元URL:
- http://www.kankyo-business.jp/column/011741.php
- 写真・動画など:
- 【図・表 】
- 記事内容
- ドイツ在住の池田 憲昭氏は、エネルギーコンサルタントのT. シュヴァルツ氏とともに、わが国で大型バイオマス発電への関心が高まっていることについて、下記のような疑問を投げかけている 脚注1)。
脚注1)トアステン・シュヴァルツ、池田憲昭「森林はエネルギー問題を解決できるか?(前編)(後編)」『地球温暖化』2014年5月号と7月号
「日本の森林には、地域木材クラスターを発展させ、地域経済を豊かにできる莫大なポテンシャルがある。ヨーロッパで過去5年来、誰も持ちたいと思わなくなった大型木質バイオマス発電に、なぜ日本が関心を示しているのだろうか。」
ドイツの森林・木材クラスターは約130万人に就労の場を提供しており、雇用量では自動車産業(80万人)や機械産業(85万人)を大きく上回る。森林・木材クラスターの中核は、地域に分散する中小企業であり、業態としては製材、木造建築、家具製造など木材のマテリアル利用が軸になっている。
ところがここ数年来、木材価格の上昇が目立ち始め、マテリアル利用に向けられる原木の確保が難しくなってきた。少し過去に遡って言うと、2000年から08年にかけてドイツの森林で風害と虫害が頻発し、大量の低質材が発生した。これをマテリアル利用でさばききることができず、エネルギー利用の急増を招い
たのである。
問題は暴風害や虫害の蔓延が終息した「普通の状態」になっても、エネルギー利用は増加の一途をたどったことだ。近年ではその総量がマテリアル利用と肩を並べ、ともに7,000万立方メートルの大台に乗っている。化石燃料価格の上昇と再生可能エネルギーへの政策支援が強い追い風となっているのは間
違いない。しかし国内の森林から、これ以上の量の木材を持続可能な形で伐り出すのは不可能な状況になりつつある(
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