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- ID:
- 34077
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 1021
- 見出し:
- 県内1次産業に懸念 TPP全容公表、「聖域」も一部対象
- 新聞名:
- 岩手日報
- 元URL:
- http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20151021_3
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 政府が大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)の関税交渉の全容が公表された20日、県内では1次産業を中心にあらためて生産、経営への影響に懸念を示す声が相次いだ。農業は聖域とされた「重要5項目」でも関税撤廃が明らかになり、林業は丸太供給に直結する合板、水産業は本県が生産量国
内1位のワカメなどで関税が撤廃・引き下げとなる。一方、輸出促進が期待される南部鉄器関係者は協定の発効後も見据え、商機をうかがう。
農業はコメ、麦など重要5項目で関税の約30%が撤廃。それらを保護するとした国会決議との整合性が問われる事態に、県農協中央会の畠山房郎常務理事は「農業者が日々努力する中で水を差される。国は影響試算を早急に出し、交渉内容も公表すべき」と訴える。
果実や野菜の関税は多くが撤廃。花巻農協ぶどう部会大迫支部の佐々木和弘支部長は「ブドウは鮮度が大事。品種も違い、市場に出る外国産は限定的」と静観。牛・豚肉は重要項目ながら調製品(ビーフジャーキー、ハム等)などの関税がなくなる。食肉製品製造・販売の一関ミート(一関市)の石川
聖浩社長は「海外の安い加工品が入ってきたら中小企業は戦えない」と警戒感を示した上で「勝負は品質」と強調する。
林業は合板の関税6~10%が11年目(一部の国は16年目)で撤廃される。県森林組合連合会によると県内は北上市や石巻市の合板工場向けなどに丸太を年30~35万立方メートル生産。沢口良喜専務理事は「輸入合板の値段が下がれば国内の合板、丸太が下がる。森林所有者の所得にもか
かわる大きな問題」とみる。
本県が生産量日本一(2014年1万5700トン、漁業・養殖業生産統計)の養殖ワカメ。TPPではワカメ、ノリなどの海藻類の関税率が発効時に約15%削減される。綾里漁協(大船渡市三陸町)の佐々木靖男組合長は「養殖ワカメ・ホタテのブランド化を目指す中でのTPP合意。高齢化と後継者難は震
災前から続き、漁村の生き残りは決して容易でない」と吐露する。
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