v10.0
- ID:
-
33846
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 0908
- 見出し:
- 「2冊の本」巨樹、名木をめぐる物 語
- 新聞名:
- 紀伊民報
- 元URL:
- http://www.agara.co.jp/column/mizu/?i=301043
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 中山道・馬籠宿にある藤村記念館の入り口には「血につながるふるさと 心につながるふるさと 言葉につながるふるさと」と刻んだ額が飾られている。『夜明け前』などで知られる島崎藤村が故郷に寄せた万感の思いである。
▼人々が紀南の地に寄せるただならぬ思いをまとめた本が立て続けに2冊、刊行された。南紀人材交流センターが編集した『故郷への便り』と紀伊民報発行の『木霊(こだま)の物語』である。
▼『故郷への便り』は、紀南出身の著名人が毎週交代で本紙に連載しているエッセー。物故者4人を含む34人が数点ずつを自選。大学教授や医者、実業界で活躍する人らが故郷の思い出から自身の専門分野の論考まで多彩な作品を収録している。
▼『木霊の物語』は2013年から2年間、本紙1面で連載された巨樹、名木をめぐる物語。民家や寺社の庭先で人々と喜怒哀楽をともにしてきた巨樹があれば、源平合戦の歴史を伝える木もある。枯死しそうな老木もあるし、訪れる人もまれな深山で年輪を刻んでいる巨木もある。
▼連載は、新聞掲載時から読者の反響を呼んだ。その記事が本になると、半永久的に残る。地域ごとにまとめた地図があるから、手軽なガイドにもなる。写真を眺めているだけでも想像が広がる。紀南の巨木リストという資料的な価値もある。
▼少々、内輪褒めかもしれないが「血につながるふるさと」への思いが詰まった2冊の出版を喜びたい。
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