v10.0
- ID:
-
33423
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 0703
- 見出し:
- 水害被害62年 枯れ木生きてた!? クスノキ奇跡の芽生え 久留米市 実は…「すご
い偶然」
- 新聞名:
- 西日本新聞
- 元URL:
- http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_chikugo/article/179737
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 62年前の西日本大水害で流され、50年間、筑後川の川底に沈んでいたクスノキの巨木が、福岡県久留米市の防災施設「くるめウス」近くに展示されている。「水害の記憶」として展示されて12年。すっかり枯れたと思われていたが、幹のくぼみから何と新芽が伸びてきた。通りがかりの人たちは「よみがえっ
たのなら奇跡」と不思議がっているが、果たして真相は-。
国土交通省筑後川河川事務所(同市)によると、このクスノキは、九州北部で約千人の死者・行方不明者を数えた1953年6月の西日本大水害で上流から流されたとされる。樹齢200年以上で重さ約10トン、幹回り約4メートル、長さは7・6メートル。筑後大堰(おおぜき)近くに埋まっていたのを事務所が
2003年に引き揚げた。
その後、新合川1丁目の現在地に展示されている。地元の植物愛好家たちによると、数年前に新芽が確認され、葉の特徴などからクスノキと分かった。1本が枝分かれしており、高さ1メートルほどに成長している。これは、巨木が生きていて芽が出たのではないか。
しかし、久留米筑水高教諭で造園が専門の藤井安寿さん(58)の分析は「巨木のくぼみにたまった土に、クスノキの種が混じった鳥のふんがたまたま落ちて生えたのでしょう」。その上で「ものすごい偶然。頑張って生きていることも非常に面白い」と驚く。
市民グループ「久留米の自然を守る会」の橋田沙弓会長(76)の見方も同じで、こう語る。「巨木には他の木やコケなども生えているが、一番元気なのはクスノキ。同じDNAだから過ごしやすかったのでしょうか」。土や水も少ないくぼみの過酷な生育環境で、ここまで育ったこと自体、奇跡なのかもしれない。
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