v10.0
- ID:
- 33248
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 0608
- 見出し:
- 大野の環境保全活動 ドングリから森を考える
- 新聞名:
- 福井新聞
- 元URL:
- http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/72779.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 大野市などが展開する環境保全活動「越前おおのエコフィールド」が7年目を迎え、徐々に輪が広がってきている。市内外の29団体・企業が「ドングリを育て森を守る」を合言葉に集結、ボランティア作業に精を出している。時間が掛かるテーマだけに、息長く活動を続け、定着を図っていきたい。
同市稲郷にある活動拠点「どんグリーン広場」は、もともと福井営林署(現福井森林管理署)が1925(大正14)年ごろに「上庄種苗事業所」として開設したもので、国有林に植栽する杉の苗木を育てていた。最盛期には約7万1千平方メートルの土地から年間約70万本もの苗木を生産・供給。しかし造林
量の減少により93年に事業所は閉鎖され、市が2003年に約3万2千平方メートルを取得した。
08年に「森林づくり活動を楽しみながら実践していく」と、岡田高大市長らが同広場で「共働宣言」を発表。6団体・企業で管理運営協議会を立ち上げ、エコフィールドが始動した。緑化推進により、水源のかん養、自然災害の抑制、二酸化炭素削減など環境保全に寄与することを目指した。
広場には毎年ドングリを植え、3年で50~60センチに成長。当初、育った苗は植樹活動をする団体に提供していたが、12年からは同市南部の巣原地区で市が購入した「平家平」に植え替える方針に転換した。さらに、ことしは広場にヒマワリ、コスモスを植える計画だ。市民に憩いの場を提供することも重要な
活動の一つといえる。
子どもたちにも森林への関心を持ってもらおうと、昨年からドングリを植えて苗を育ててもらう「里親事業」を実施。ことしは4月に市内全10小学校の2年生ら約280人が参加した。いろいろな世代が関わることは、活動が将来にわたって切れ目なく行われることにつながり、効果的な試みだろう。
7月には平家平の下草刈りや補植、10月にはドングリ拾いと植樹、越冬作業を行う。昨年はクマの出没が増えたり、時期が台風と重なったため一部中止を余儀なくされた。13年は協議会メンバーの家族らも加わり、遠足気分で森に親しめるとあって200人以上が参加している。
ドングリが育ち、新しい実をつけるまでに10~15年かかり、樹木のサイクルからいっても7年目のエコフィールドは道半ばである。ドングリから森を考える姿勢は保ちながら、マンネリ化を避けるために協議会メンバーらから意見を吸い上げ活動の幅を広げていきたい。そして誰もが気軽に環境保全に携われる
機会を設けてみてはどうか。県内最大の森林面積を持つ大野だからこそやる意義がある。
..