v10.0
- ID:
- 32854
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 0405
- 見出し:
- 真鍋のサクラ培養成功 住友林業が新保存法
- 新聞名:
- 常陽新聞スマートフォン版
- 元URL:
- http://joyonews.jp/smart/?p=2607
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 真鍋の桜の組織培養成功2
真鍋小児童たちも興味津々
住友林業(本社・東京都千代田区、市川晃社長)は2012年から取り組んできた、土浦市立真鍋小学校の校庭にある県指定天然記念物「真鍋のサクラ」の組織培養にこのほど成功した。同社筑波研究所(三川卓所長)の研究員らが記者発表して明らかにした。ソメイヨシノの増殖は世界初といい、増殖苗は
元の木よりも若返り、病害虫にも強い特性をもち、新たな保護、保存方法として注目を浴びそうだ。
校庭の中央に陣取る桜の巨木は5本。樹齢110年を超え、樹勢の衰えとともに、後世に伝えられるか懸念を募らせた「真鍋のサクラ保存会」(菊田和衛会長)が市とともに、後継稚樹の増殖を依頼。同社で研究開発を進め、3年の年月をかけて、このほど成功した。
会見した中村健太郎主任研究員によると、ポイントになったのは組織培養液の成分。通常はショ糖が成分だが、今回「トレパース」と呼ばれる特殊な糖分が必要と判明するまでに時間を要したという。
研究ではまず、冬の間に芽を採取し、その分裂組織を顕微鏡下で摘出。試験管に移し、専用に開発した培養液の中で垂直にゆっくりと回転培養しながら大量の芽(多芽体)をつくる。
さらにそれを培養して芽を伸ばし、1本ずつ切り分け、発根を促す人工培養土に植えつけて幼苗を作り上げる。ここまでを無菌状態で行う。その後、温室で育苗して環境に順応させて苗が出来上がる。
この組織培養法による増殖苗は、元の樹木の樹齢に比べて若返りする可能性が高く、かつ、病害虫の感染も少ないため、従来の接ぎ木による増殖よりも、保護、保存により適しているという。
同社によると、ソメイヨシノは江戸時代末に染井村(東京都豊島区駒込)で育種され、接ぎ木で全国各地に広がった。しかし今日、道路舗装やお花見などで土が踏み固められ、寿命の短縮化が危惧されているほか、度重なる接ぎ木で変異を重ね、形や色の異なる桜がソメイヨシノとして流通している情報もあ
る。
一方、「真鍋のサクラ」は樹齢110年を超す木が5本も一カ所に残り、研究素材として貴重なサンプル。原木から増やされた可能性の高い木として、同社が関東エリアの標準木に選定し、今後はこの木から増殖された苗木を台木として接木苗の生産を行う予定だ。
同社はソメイヨシノという貴重品種の原形となる遺伝子を確実に継承し、品種の保護保存に努めることを決め、各地で樹齢100年程度のソメイヨシノを見つけ出し、DNA鑑定して苗木を増殖する。「真鍋のサクラ」とともに、既に、岩手県大槌町の桜、京都・醍醐寺のソメイヨシノをDNA鑑定。今後、九州、中国、
..