2006年度の県内住宅着工戸数は前年度比13.5%増の1万6233件となり、消費税引き上げに伴う駆け込み需要で過去最高となった1996年度とほぼ同
水準に達したことが1日、日銀那覇支店の調査で分かった。本土開発業者の本格参入で、マンションなど分譲物件は前年の2.4倍と激増した。一方、那覇新都心地区では賃貸・分譲物件の価格高騰で需要が鈍化した
物件を厳しく選別する動きが出るなど人気・不人気物件の差が鮮明となり、新都心地区から周辺地域やモノレール沿線に住宅需要が移行している。
着工戸数増について、同支店は「本土デベロッパーが新都心地区で本格的な開発を展開している。特殊要因がない状況でこれだけ増えており、需要の先取りではないとみている」と報告した。
地域別では那覇新都心地区の周辺(安謝、真嘉比、古島)や、那覇市内へのアクセスが良い浦添市(宮城、内間、伊祖)の人気が上昇。分譲物件は、北谷町や宜野湾市の太平洋側に立地する物件の需要が高まりつつあ
る。
那覇市内では深刻な交通渋滞の影響を受けないモノレール駅近くの小禄、赤嶺で賃貸物件の人気が上昇。沖縄市美里、泡瀬、高原や名護市宇茂佐などの区画整理事業地は、引き続き根強い需要があった。
人気物件の価格帯は、賃貸が2LDKで月7―8万円、3LDKで月10万円以内。分譲では2LDKで2千万円以内、3LDKで3千万円以内。
この半年間の供給側の変化として、貸家オーナーの地主の側に建設着工に慎重になる動きがあった。同支店は「急ピッチな建設増加で、一番人気だった那覇新都心地区のファミリー物件ですら空き室が発生する一方、
地主に地価上昇期待もあり、建設を一時手控える動きがある」と説明している。
分譲マンション開発業者は那覇新都心地区の地価高騰に伴う販売ペースの鈍化に反応し、同地区以外の市内の供給を増加。価格を低めに抑えた低層階を県内一般客に、4割前後高めに価格設定した高層階を県外や
県内富裕層向けに販売するなど、売り方に工夫が見られた