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ID :  3690
公開日 :  2007年  5月 2日
タイトル
[<関西かいしゃ研究>永大産業…建材回帰で再上場
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://osaka.yomiuri.co.jp/eco_news/20070502ke03.htm
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元urltop:
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写真:
 
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1800億円の負債を抱えて1978年、会社更生法の適用を申請し、「戦後最大の倒産」と話題になった建材・住宅設備メーカーの永大産業が、今年2月、東京証券取引所2部市場への再上場を果たした。復活 までの道のりや、今後の課題を探った (井岡秀行) 上場を記念して鐘を打つ吉川社長。再建の苦楽をともにした他の取締役も1回ずつ、鐘を鳴らした(今年2月28日、東京証券取引所で)■苦難  上場前月の1月、東証幹部から最終審査を受けた吉川康長社長は、最後に投げかけられた「苦労されましたね」との一言に、思わず涙ぐんだ。倒産から29年という歳月だけではない。本来は1997年度の再上場を目指 していたが、同年4月の消費税率引き上げで、住宅着工件数が激減して税引き後赤字に転落し、上場が認められなかった経緯もあったからだ ■転落  1946年に大阪でベニヤ板メーカーとしてスタートした永大は、戦後復興の波に乗って急成長した。60年には住宅事業に参入、宅地開発にも手を広げ、倒産4年前の74年度には売上高(単体)が1530億円のピークに 達した  しかし、73年のオイルショックを機に高度経済成長が終わり、住宅市場が冷え込むと、業績は急激に悪化した。大量に抱えた土地の含み損が追い打ちをかけた。当時、東京で建材の営業を担当していた吉川社長は「 予兆はあったが、建材は好調だっただけに、悔しかった」と唇をかむ ■再起  80年に住宅事業から撤退すると同時に、約3600人いた従業員を2000人まで減らした。破産管財人を務めた入江正信弁護士(84)は「倒産した会社の家を買う人はいない。建材にかけるしかなかった」と振り返る 入江氏は吉川社長らとともに、それまでライバルだった住宅メーカーへの売り込みに走り回ったという  当時、住宅メーカー1社あたりの年間着工戸数は数百戸だったが、次第に1万戸近くに成長していった。住宅メーカーに絞った苦し紛れの戦略が結果的に的中した。バブルで市場が拡大したこともあり、予定より2年早い 93年、更生手続きが完了した。「2度と倒産は許されない。手元に100億円は留保しておけ」という入江氏の方針で、「バブルに踊らされず、恩恵だけを受けた」(金丸収蔵常務)という側面もあった ■正念場  再上場を果たしたとはいえ、経営環境は厳しい  2006年、中国などでの需要拡大が引き金となり、原材料の木材価格が前年の2倍に高騰する「ウッドショック」が起きた。永大は、フローリング建材の国内シェア(占有率)は20%で首位だが、システムキッチンや化粧 台などは数%で、木材を使った製品に収益を依存しており、「月4億円のコスト増加」(吉川社長)になった  また、クレディ・スイス証券の大谷洋司アナリストは「住宅業界は大手への集約が進んでいるが、建材メーカーは20社以上あり、住宅メーカーとの価格交渉力は弱まる一方。近い将来、再編が進む」と予測する。住宅市 場を左右する消費税率の引き上げ論議も、今夏の参院選後に本格化する。永大の経営は、いきなり正念場を迎えることになる 「コスト削減」から「増産」へ…吉川 康長社長 63  ――再上場の狙いは  「上場はスタートにすぎない。業界は今後、再編が進むだろう。上場しておかなければ(再編に)乗り遅れる懸念もあった。難産の子は育つというが、苦しい時代を支えてくれた取引先や社員に感謝したい」  ――2006年度は減益の見通しだ  「競合他社には赤字に陥るところもあり、今はチャンスでもある。これまでの投資はコスト削減が目的だったが、今後は増産するための投資に切り替え、主力のフローリング材のシェア(占有率)を早期に30%に高めた い」  「建材は販売先と3年程度の長期契約を結ぶことが多く、(原材料値上がり分の)価格転嫁はどうしても遅れる。今年7月以降はすべて、価格に反映できる見通しで、07年度は増収増益が見込める」  ――買収の標的になる心配は  「筆頭株主は従業員持ち株会。取引先も株を保有してくれており、安定株主比率が高い。買収されにくい会社だ」  ――少子化で国内の住宅着工件数は減少する  「核家族化の進展で、人口は減少しても世帯数は当面、伸び続けるという予測もある。当社は着工件数が拡大しているマンション向けの建材が強く、不安はない」  ――消費税率が上がると市場の縮小が懸念される  「5%になった97年は失業率も高く、銀行の不良債権問題もあり、世の中全体が沈んでいた。戦後最長の景気拡大が続く今とは状況が全く違う。一時的に冷え込むだろうが、低迷が続くとは思えない」