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ID :  2264
公開日 :  2006年  12月11日
タイトル
[古家の寒さに思うこと
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/housing/diary/TKY200612110057.html
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元urltop:
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写真:
 
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古家は寒い。入居前から、いろんな人に聞かされていたので、ある程度の覚悟が出来ていて、もっと寒いのを想像していたが、今はなんとか過ごせている。マンションのように気密性が高くないので、暖房を 完璧(かんぺき)には出来ない。ないならないなりに、家に人が合わせていくしかないと思っている 築35年の家を改造して暮らしているご夫婦の家。サッシにせず、あえて、あったままの木枠に板ガラスをそのまま使っている 古道具のランプを寝室の手元灯りに。機能性だけを考えたらもっと別の物を選んでいるはず  木枠や、木の家は味わいがあって良いが、もちろん、ソリもあれば、木が暴れてすき間が出来ることもある。そういう一切合切をひきうけたうえで、入居し、それでもやっぱりいいものはいいと思っている。  今は情報があふれているようにみえるが、じつは一面的だったり、画一的だったりする。ほとんどの情報は、安全で安くて、耐久性、機能性の高い建材や建具をいいとしているが、「いい」の基準は人それぞれで、物差 しは違ってよいのだ。私は、木だからこそのメリット、デメリットをてんびんにかけて、それでも、と今の家を借りた。  結果から言うと、たしかに寒いし、木枠の窓のそばは寒いけれど、それ以上にたくさんの喜びを家族にもたらしてくれているので、とても満足している。  夫も子どもも、もはや、暖房器具で完璧に寒さを封じるという考えはなく、この家の寒さとどうつきあっていけるか、をつねに考えている感じだ。今から、エアコンをつけていると、1月をのりきれないからなるべく電気カ ーペットだけで12月は乗り切ろうとか、室温設定もあんばいをはかる。どの温度で寒さをしのげるか、最低のラインを探ろうとする。あと1度、上げたいところだけれど、今はまだ我慢しておこう、とか。  マンションにいた頃は、何の考えもなしに、いつも一定温度に設定した床暖房をつけ、ガスストーブにあたっていた。  今は、外気や雨風の様子、夜空を見上げながら冷え込み方を予想し、子どもでも、子どもなりにその日の天気に合わせて防寒の智恵をはかる。寒ければ、温度を上げるのではなく、上着を1枚多く着る。寝る前は足裏を マッサージして温める。すると体もほかほかと温まってくる。そういう、単純な暮らしの智恵が少しずつ増えてきた。  最近は、古家暮らしを考えている人などに「やっぱり寒いですか?」と聞かれる。ええ、寒いですよと答えるが、季節や家に合わせて暮らしていくのは、寒さやメンテナンスの大変さをさしひいても、楽しいものですよと 付けくわえている。