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ID :  1670
公開日 :  2006年 9月20日
タイトル
[チョウセンアカシジミ 保全指定解除へ
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新聞名
岩手日報
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元URL.
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2006/m09/d19/NippoNews_15.html
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元urltop:
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写真:
 
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 同保全地域は1973年にチョウセンアカシジミ生息地として指定された。田野畑村の田野畑、沼袋、浜岩泉の3カ所の山林計60ヘクタールが指定範囲で、すべて民有地だ。毎年50万円の報酬を自然保 護指導員に支払っている。草木の伐採が禁じられているため、木々が密集して昼間でも薄暗い。

 チョウセンアカシジミの多くは、日当たりのよい人里近くにあるトネリコの幼木に産卵する。このため保全地域での生息は少ないという皮肉な事態が生じた。逆にトネリコを植樹したり、周辺の草木を刈り払うなど人 為的な保全対策が講じられた場所には多く生息している。

 こうした実態から、保護活動を行っていた宮古昆虫研究会(尾形洋一代表)が当初から指定を疑問視し、指定の翌年から毎年のように生息調査を実施。保全地域の卵数は村内全域の1%程度と分かったことから、約 30年前から県に指定解除を再三求めていた。

 これらの動きを受けて県自然保護課は▽保全地域の性格とチョウの生息条件が合致しない▽保全地域外で保護活動が盛ん▽個体の保護は村の条例で制定している―などを理由に指定解除の検討を開始した。

 岡野治自然公園担当課長は「田野畑村や地域住民の意見を聞き、指定解除に理解が得られれば、年度内に開催予定の環境審議会自然鳥獣部会に諮りたい」としている。

 自然環境保全地域は国立、国定、県立自然の各自然公園に次ぐ位置付け。環境省によると、希少動植物の保護を目的とした保全地域の指定解除の事例は把握していないという。

 解除を求めてきた尾形代表は「長年の訴えを認めた判断に拍手を送りたい。今後は一人一人がチョウセンアカシジミとの共生を考える環境づくりを進めなければいけない」と歓迎している。

 チョウセンアカシジミ 本県、山形県、新潟県の一部に生息するチョウ。生息地は田畑の周辺など人里近くに多く、山奥には少ない。本県では久慈市から宮古市までの沿岸6市町村と雫石町、滝沢村に生 息。各市町村が天然記念物に指定している。

 自然環境保全地域 貴重な天然林や豊かな生態系、動植物の生息地として自然を保全する地域。県内には国指定で川井村の早池峰、西和賀町の和賀岳の2カ所のほか、県指定が13カ所。特別地区内で は建築、土石採取、伐採などの行為を規制する。