ID :
1557
公開日 :
2006年 8月27日
タイトル
[森林経済工学研究所
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新聞名
神戸新聞
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元URL.
http://www.kobe-np.co.jp/rensai/migake/110.html
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元urltop:
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写真:
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株式会社らしからぬ社名は、大学発のベンチャーゆえ。そこには、国産木材を競争力のある商品にすることで林業を復活させたい―との思いが込められている。
「トラス」と呼ばれる骨組みを間伐材で作り、主力商品に育てた。建材には向かないとされていた間伐材だが、十分な強度が出せることを突き止めたのだ。「重ね梁(ばり)」を間伐材で作る技術も開発。大型建造物にも
使える。
兵庫県内で生涯学習センター(宍粟市)の大型ドームや西はりま養護学校(たつの市)の体育館など、いくつかの公的施設に工法が採用された。地元産木材をふんだんに使い、木ならではの温かみが好評だ。
出発点は、取締役の一人、今井克彦・大阪大学大学院教授(62)の危機感だった。
建築を専門とする今井は、神戸発祥の川崎製鉄(現JFEホールディングス)の子会社、川鉄建材(現JFE建材)で鋼材を活用した建材の開発に携わった後、母校の研究者に転じた。木材にも研究対象を広げるうちに「こ
のままでは日本の山が駄目になる」との思いを強くした。
国は戦後の復興期に、住宅の需要増に対応するため、スギやヒノキの植林を推し進めた。しかし、一九六〇年代からの木材の輸入自由化で国内の林業が衰退。間伐されずに荒れる山が増えた。
そのため保水力が弱まり、台風などの際に土砂崩れが起きるようになった。しかも、戦後に植えられたスギやヒノキは伐採期を迎えている。今のうちに手を打たなければ、山はさらに荒れる。
そこで今井は間伐材の商品化を研究。二〇〇二年、成果を基に、製品の販売とともに、建設会社などに技術を提供する企業として始動した。
「木材の良さを見直そうという流れもあり、問い合わせが増えてきた」。今井の大学時代からの友人で社長の木村太一(63)は手応えを感じている。本拠は、加東市の金属加工会社の一角に置いた。そこから生まれた木
製トラスは経済専門紙から賞を受けるなど評価も高まっている。
最近もう一つ、事業の柱ができた。筋交いを使わない耐震補強工法だ。鉄筋コンクリート建造物の壁面にH(エイチ)型鋼の枠を取り付ける方法で、特許も取得。窓を筋交いが横切ることがないので、オフィスビルや学
校からの引き合いが多いという。
国産木材の活用と、耐震化による建物再生。技術を駆使して、山と街に新たな息吹を起こす取り組みが続く。