1. HOME
  2. 木の情報発信基地Top
  3. 9.建物
  4. 木造建築のネツト記事 TOP
ID :  1473
公開日 :  2006年 8月11日
タイトル
[森林総合研究所、スギ材の新たな乾燥技術を開発
.
新聞名
日経プレスリリース
.
元URL.
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=138207&lindID=4
.
元urltop:
.
写真:
 
.
森林総合研究所では、スギ材を高速で乾燥し、乾燥材の品質を一定レベルで維持することが可能になる高温過熱蒸気1)等を使った新しい木材乾燥技術を開発しました。これにより、国産材の需要拡大に欠 かせないスギ材の乾燥の効率化と乾燥材の普及が期待できます。また、この成果を要約した「スギ乾燥のための10の要点」(森林総合研究所第1期中期計画成果集18)を出版しました。
 製材した後に十分に乾いていない木材を住宅に使用すると、時間が経つうちに狂いが生じ、様々な不具合につながる恐れがあるため、使用前の乾燥処理が必要です。しかし、スギは他の樹種に比べて材質や含水率 等のバラツキが大きく、また柱材は材面が割れやすいため、従来の方法では割れが少なく品質の高い乾燥材を生産することが困難でした。しかも、水分が多いために、乾燥処理に時間がかかり、コスト高になります。これ らの問題を解決するため、原木丸太の選別、高温処理による乾燥割れ2)の抑制、処理時間の大幅な短縮、乾燥材の品質確保などに関する一連の技術開発を行いました。
 新たに開発した乾燥技術は、高温の蒸気式乾燥機3)と圧力容器を使って、乾燥処理によって生じやすい「木材の割れ」を防止するものです。乾燥初期に材面にドライングセット4)を形成させることにより材表面の割れ を防止し、これに続く工程では材温を下げて乾燥処理を行うことで高温乾燥5)で生じやすい内部割れのみならず強度や耐蟻性の低下を防ぐことができます。密閉した圧力容器(図1)を使った高温の過熱蒸気処理とそれ に続く減圧乾燥6)の組み合わせ処理は、変色や乾燥割れを生じさせずに、従来の乾燥方法の約1/2の4日程度で柱材を高速乾燥できます(図2)。また、丸太の段階で最終製品の強度を予測する方法や丸太内部の含水 率分布を電気計測によって評価する新しい方法、乾燥材の用途を見極めての乾燥効率向上を図る方法(図3)を開発しました。これら一連の技術を活用することによって、高品質のスギ乾燥材を低コストで市場に供給す ることが可能です。
 我が国には、毎年3,000万m3もの用材を供給できるスギの蓄積があり、今後とも建築材料としてニーズに合った品質のスギ製材品を継続的に供給することが求められています。開発した高温過熱蒸気処理方法によ れば、強度や耐久性が確保され、一定品質の乾燥材生産が可能です。しかし、高温処理条件を間違えると、強度や耐久性の低下をきたす(図4)ことも明らかになっており、正しい乾燥技術の普及が急務です。