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ID :  1450
公開日 :  2006年 8月 6日
タイトル
[木材価格急落、林業に打撃
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新聞名
岐阜新聞
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元URL.
http://www.jic-gifu.or.jp/np/newspaper/news/1998/0526.htm
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元urltop:
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写真:
 
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木の国・岐阜県の林業が戦後最大のピンチに-。昨年秋以降の木材価格の急落が、県内林業に深刻な影響を与えている。特に住宅材のスギは「伐採して市場に出す経費が高くつき、木を切れば赤字になる」 との声が出るほど。伐採を見合わせる森林組合や、そのあおりでリストラや操業短縮を行う製材業者も出ている。
 県林政課によると、県の面積に占める森林面積は868,000ヘクタール(全国5位)で、森林率82%(同2位)。丸太の素材生産量は1996(平成8)年実績で675,000立方メートル(同9位)。中でもヒノキは約250,0 00立方メートルで日本一を誇っている。
 ところが、昨年秋以降、木材価格が急落した。五年ほど前から価格は低落傾向にあったが、昨年4月には消費税アップに伴う住宅建設の駆け込み需要があり、価格は一時的に高騰した。それ以降、再び価格は下落し、今 の市況は「底割れ」の状態だという。
 県森林組合連合会によると、原木の平均価格はヒノキの柱材(直径16~18センチ)で昨年5月に1立方メートル当たり43,500円だったのが、今年は同31,500円。スギは1立方メートル21,100円だったのが同12 ,100円に落ち込んでいる。
 道路建設や送電線架設に伴う木の除去など事情がない限り、伐採はストップ。しかも市場出荷には伐採、運搬や市場手数料など1立方メートル当たり16,000円の費用がかかるため、スギなどでは逆ザヤとなり赤字に なる。こうした価格急落と伐採の見合わせは、戦後の林業では初めてという。
 これに伴い、材木市場で取り扱う材木量も減少。県森連岐阜林産物共販所の下川吾朗所長は「一昨年は年間約25,000立方メートルで売り上げ高約7億円。昨年は21,000立方メートルと4,000立方メートル減少し、 売上高は2億円減になった」と話す。
 厳しい木材生産のあおりで製材業界もピンチ。県内の製材工場数は大小659(全国1位)あるが、恵那市の恵那小径木加工協同組合(岡本博昭理事長)では月産1,000立方メートルが500立方メートルに半減した。こ のため従業員12人を6人に半減するリストラや、操業も週休2日から3日にして工場を稼働させている。
 価格の急落について「阪神大震災後、木造住宅の耐震性について誤った認識が広がり、在来工法による木造住宅の着工戸数が減少した」と関係者は口をそろえる。さらに着工減少の背景には「不況でマイホームの長 期ローン返済に不安がある」という見方もある。全国の着工戸数は一昨年3月現在、164万戸だったが、昨年は139万戸と15%減少。県内でも3,300戸減った。しかも県内で年間2万戸(うち木造は45%の9,000戸 )とされる中、プレハブ住宅の普及、外材との競合などが重なってきた。
 戦後最大の県林業のピンチに、県林産振興課は「木材の需要拡大を図るため、日本の四季に適応し健康的な自然木材の産直住宅や、県産材活用のPRなどを強化していきたい」と話す。県森連では「今夏以降、市場で の在庫不足や買い手の入札状況などから好転するのでは」と期待するが、全国的な市況だけに即効薬は見当たらず、頭を悩ませている。