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ID : 3554
公開日 : 2007年 4月18日
タイトル
中国・黄砂問題 砂漠化急速根絶は遠く
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新聞名
東京新聞
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元URL.
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007041802009648.html
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元urltop:
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写真:
 
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日本や韓国で、春の“風物詩”となった黄砂は砂漠化問題と絡む、中国でも頭を悩ます環境問題だ。来年は北京五輪があるだけに、中国政府は黄砂対策とその成果を積極的にアピールしている。実際に取材に訪れた北京周辺の状況は改善しつつあるが、根本的な砂漠化問題の解決にはまだ相当な努力と時間が必要だ。 (北京・新貝憲弘、写真も)
 北京から北西へ約二百キロの河北省張家口市万全県。市林業局の康成福副局長は「北京五輪を控え、ここの環境は直接、北京に影響する」と黄砂対策の重要性を強調する。北京と最も近い砂漠地帯との中間で、「北京の風上と水源」(康副局長)にあたるからだ。
 高速道路脇には、アカマツなどの幼木が並び、この二年間で百十万株を植えた。数年前まで女性は春になると、スカーフで黄砂を防いでいたが、「今はそんな心配もなくなった」と康副局長は自信を示す。
 年間降水量は四百ミリ未満と日本平均の四分の一以下で、これまで何度も植林しながら失敗していた。このため、幼木の周りを幅・深さ三十-四十センチほどに掘り、雨水をためられるように工夫。微生物を使った土壌改良も行い、育成率は85%以上に上がったという。
 耕地を防砂林に変える「退耕還林」事業も進む。同市張北県は「一年に一度風が吹く。年初から年末まで」といわれるほどの強風地帯。県林業局の韓凱副局長は「昔は黄砂が吹くと、太陽が見えず真っ暗になった」と話す。しかし、今では強風でも「砂ぼこりはまったくないでしょう」と韓副局長に笑みがこぼれる。
 三年前までカラス麦やジャガイモを栽培していた畑は、干ばつに強いグミ科の「シーベリー」に植え替えられた。つぶした畑の補償は、一ムー(七アール弱)あたり年間百四十元(約二千二百円)。ビタミンEなど、豊富な栄養を含むシーベリーの実を使った化粧品や健康食品の生産、販売で農民の収入増も見込んでいる。
年1200平方キロ緑地消失 ところが、昨年四月には一晩で、三十万トンを超える黄砂が北京に降り注ぎ、街中が「黄土色」になった。中国国家林業局の曹清尭スポークスマンは「中国は黄砂の発生源である、と同時に黄砂の影響を受ける国」と、国外から飛んでくる黄砂も少なくないと強調するが、国内の黄砂対策も十分とはいえない。
 今年三月の全国人民代表大会(国会に相当)で、温家宝首相は、甘粛省武威市民勤県を「第二のロプノル湖にしてはならない」と、干上がってしまった「さまよえる湖」に例え、黄砂対策の重要性をあらためて強調した。
 民勤県は中国の三大砂漠「バダインジャラン砂漠」の南側にあり、県全体の95%が砂漠化しており、三日に一日は黄砂が吹き荒れる。このため、温首相は副首相時代の二〇〇一年から、同県の砂漠化を食い止めるよう十二回も指示してきた。
 しかし、今でも年十メートルの速度で緑地が砂漠化し、今年も八千人が移住を余儀なくされ、人口三十万人の県を離れる。試算では総合的な対策に四十三億元強が必要だが、県の財政収入はわずか五千五百万元だ。
 国家林業局によると、国土の18・1%に当たる百七十四万平方キロが砂漠化した土地で、一年で東京二十三区のほぼ二倍にあたる千二百八十三平方キロが砂漠化している、という。
 このため、四億人近くの生活に影響が出ており、直接的な経済損失は五百億元(約七千七百億円)以上という。曹スポークスマンは「今の対応では黄砂の根絶に数十年はかかる」と対策をさらに強化する方針を示している。
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