【国頭】やんばるの自然破壊に歯止めをかけようと、国頭村奥間川流域でナショナルトラスト運動を展開しているNPO法人「奥間川流域保護基金」の伊波義安代表らメンバー8人は4日、同村内で県が建設を進めている伊江原林道の工事現場や、奥1号林道沿いの森林伐採現場などを視察した。
伊江原林道工事では、ほぼ垂直に切り取られた山肌や、土砂崩れなどによる赤土の流出、沢筋が遮断されている状況を確認。植林を名目とした伐採地では、イタジイの森が切り開かれ、表土がむき出しになった現場を見た。
メンバーらは絶滅の恐れがあるノグチゲラやヤンバルクイナなど貴重な固有動植物が数多く生息するやんばるの生態系を守るため、琉球諸島を世界自然遺産に登録する活動も進めており、現地視察はその一環。政府が1月末、世界遺産の登録候補の「暫定リスト」に、自然遺産では「小笠原諸島」を追加したことを受け、候補から漏れたやんばるの現状を再確認した。
メンバーらは「環境破壊が進んでいる現状では、自然遺産に登録されるはずがない」と話した。
伊波代表は「大国林道工事のような開発行為が今なお続いていることに驚いた。自然遺産の中心になるのがやんばるであり、過去から受け継がれてきた沖縄の宝を、次の世代に受け渡す責任がわれわれにはある」と強調し、あらためて村当局や森林組合など地元関係者と話し合いを持つ考えを示した。