ID : 1929
公開日 : 2006年 10月26日
タイトル
シカ食害、消える森 30地点で低木消滅 県人博調査 .
新聞名
神戸新聞
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元URL.
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000149424.shtml
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元urltop:
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写真:
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兵庫県立人と自然の博物館(三田市)が県内の三百十六地点でシカの食害を調べたところ、約三分の一の百十地点で低木が半減し、約10%の三十地点では消滅したことが分かった。シカが若い芽や葉を食べ尽くすためで、森林の保水力が弱まり、がけ崩れなどの危険性が高まる。二年前の台風23号で倒木が多発した地域は、シカが木の再生を妨げて森林荒廃を加速させる恐れもあり、同館は今後、詳細な調査を急ぐ。(辻本一好) 同館は、今年五月から県内の広葉樹林を対象に調査し、養父、朝来、豊岡の三市と神河町の調査地点で、低木の消滅を確認。半減した地域はこの三市一町に加え、宍粟、篠山、丹波、相生、たつの、姫路、西脇の七市、佐用、市川、香美、多可、上郡の五町だった。 「低木は、芽や葉を食べ尽くされる状態が続くと、早ければ二年で枯れる。木の根がなくなるため、土が雨で流されやすくなる」と同館元研究員の藤木大介さん(32)は指摘する。 台風23号の際は、但馬、西播磨のスギやヒノキ林に計三千ヘクタールの倒木被害が出た。もともと、シカの生息数が県内でも多い地域だけに、「生き残った株や植林した木の若い芽をシカが食べ、森林が復活しない恐れもある」という。 県内のシカ生息数は県推定で約三万三千五百頭。例年、農林業への鳥獣被害の半分前後を占める。県は一万六千頭に抑制することを目標に、年一万-一万五千頭を捕獲しているが、頭数は減っていない。生息地域も山間部から海岸部へ向け拡大している。 「増えすぎたシカは、山の姿を変える。今後、若い木に世代交代できない森林の保水機能の衰えや、氷ノ山の貴重な植物などへの影響も調査を急ぐべきだ」と藤木さんは話している。
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