ID : 15480
公開日 : 2010年 3月26日
タイトル
おとなの住まい:住まい自分流/トップランナー 木造住宅
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/life/today/news/20100326ddm010100145000c.html
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元urltop:
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写真:
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住まい自分流
◆(社)日本木造住宅産業協会・熊建夫専務理事
◇「ぬくもり」3世代に 「地震に弱いは誤解」 調湿機能、CO対策も万全 環境にやさしいとして木造住宅が脚光をあびつつある。日本の伝統住宅でもある木造住宅の魅力や現状について、日本木造住宅産業協会の熊建夫専務理事に話を聞いた。
住宅といえば昔は木造が中心だったが、プレハブや鉄筋コンクリート共同住宅などが徐々に増え、現在では木造住宅は半分ほどになっている。最近のデータをみると、2008年の新築住宅は約109万戸だったのが、09年は約79万戸と28%も減少した。内訳をみると、鉄筋コンクリート造りは43%も減ったものの、木造は17%の減少ですんだ。その背景を考えると、木造に住みたいという希望が根強くあるからだろう。
木造は地震に弱いといわれるが、それは誤解。阪神大震災での木造住宅の被害が大きかったのはストックのほとんどが木造住宅だったから。耐久性で言うと、1000年ほどもたっている奈良・法隆寺のヒノキは、200~300年たって強度が最も強くなり、その後漸減する。現在、この木材の強さは伐採時と同じくらいの強度といわれる。
木造住宅の利点はいろいろあるが、まず人にやさしいということ。木だと触ってもスチールなどと違ってあたたかいし、床も板張りなら素足で歩いても気持ちいい。また調湿機能があり、健康にもいい。環境的にも二酸化炭素(CO2)対策としてうってつけ。木造住宅は「都会に移した森」とも言われ、住宅に使われることで二酸化炭素由来の炭素が固定され、また木材を得るために木を切った後に、植樹をすれば木が育つときに二酸化炭素ガスを吸収することにつながる。
このほか工法的に地形に応じて、自由自在に設計ができる。鉄やコンクリートに比べて軽いので、施工が楽で、大きな重機も不要。コストも安いし、地震対策について言えば、耐震等級で、一般的にとることが難しいといわれる「等級2」以上を比較的容易にとることができる。壁にボードを張るなどして耐火構造にもできる。
このほど国の政策で住宅にもエコポイント制度が導入され、一定の省エネ基準を満たせばポイントをもらえる。リフォームでも、窓や開口部、天井の断熱などの採用でエコポイントがたまる。「何かやらなければ」と考えている人にとっては、こうした制度はプッシュ効果があるのではと我々も期待している。
欧米では住宅の流通をみると7~8割が中古住宅。住宅はもともと消費財ではなく、耐久財なので、「いいものを作って手入れして長く使う」という考え方を浸透させ、3世代ぐらいは住み続けることができるようにしたい。そうなれば中古住宅のマーケットもきちんと整備され、評価されるようになる。資産として立派に評価され、マーケットが充実すれば、経済の活性化にも役立つだろう。
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■トップランナー
◆積水ハウス東京設計室長・佐藤隆一さん
◇「シャーウッド」強度、断熱、太陽光発電…安全・快適・安心を追求 自然の生態系再生も 鉄骨住宅とともに木造住宅に力を入れている積水ハウス、地震に強い住宅だけでなく環境にやさしい住宅づくりにも熱心。そうした取り組みが認められ、2008年に環境省から住宅業界初の「エコ・ファースト企業」として認定された。同社の木造住宅について、積水ハウス東京設計室長、佐藤隆一さんに話を聞いた。
<進化する木造住宅として「シャーウッド」(SHAWOOD)という商品を売り出していますが、どんな特徴があるのですか?>
私どもの木造住宅は40年ほどの歴史がありますが、その間にいろいろ住宅の構造強化などに取り組み、1995年に、それまでの実績と技術をもとに「シャーウッド」が誕生しました。その特徴は八つあります。まず安定した品質と強い強度が得られる「シャーウッド構造材」(構造用集成材)の導入です。これは厳選した厚さ20~40ミリの板を緊密に接着して製品化したもので、品質が安定するだけでなく、経年変化によるそりや狂い、割れなどが生じにくく目的に合った断面や長さの製品が作れます。次に木の強さを最大限に生かす「MJ(メタルジョイント)接合システム」です。阪神大震災で、地震の力が住宅の接合部に集中しやすく、その優劣が被害に直結することが分かり、それを強化するためにこのシステムを採用しました。木と木の接合部に一般の補強金物とはまったく異なる専用設計の構造金物を使い、接合部の強度を大幅に向上させました。このほか、家の基礎と柱を直結し、確実に強度を確保する基礎ダイレクトジョイント、高倍率耐力壁、高剛性床、さらに柱と梁(はり)を剛接合したラーメンフレームで、安全性に不安を持つことなく3方向に窓が設けられる明るいダイニングも可能になりました。さらに大きな断面をもつ「耐風柱」と大きな梁と組み合わせ、これまでの木造住宅にはない大きな吹き抜け空間を実現しました。木造の劣化を防ぐため、床下換気や壁体内の通気をよくする工法などを取り入れています。
<エコロジーな家づくりにも挑戦されていますね?>
十数年前から複層ガラスにして断熱効果を高めたり、有害物質を含まない自然素材から生まれた環境に配慮した陶版外壁「ベルバーン」を導入してきました。またサスティナブル(持続性)社会のために、太陽光発電システムや家庭用燃料電池を搭載した二酸化炭素排出ゼロの家づくりや自然の生態系再生に努めようという庭づくり「5本の樹」計画を提案しています。こうした努力が「エコ・ファースト企業」として認められました。
<こうした木造住宅は、ユーザーにどんなメリットがありますか?>
安全性能、快適性能、安心性能がよくなりました。例えば、家に入るだけで暖かい感じのエネルギーがいらない住宅となり、快適ですし、家全体が温度が一定になり、お年寄りの「脳卒中」などの事故が減り、安心になりました。家のランニングコストも低減し、太陽光発電システムで電力をまかない、地震などで停電した場合にも発電分を使用することができ、防災にも強く安全です。また誰もが快適、安全に暮らせるよう、室内の安全に配慮した「ユニバーサルデザイン」にも力を入れており、誰もが利用しやすい階段、指詰めをしないようなドア、つまずかないような段差の工夫などをしています。
<昨年発表された「里楽」はどんな特徴がありますか?>
住宅の理想の一つは、風呂、キッチン、寝室などが同一面にある平屋建てです。リタイア層がゆったり過ごせるような、終(つい)のすみかを目指しています。夏の日差しを避け、冬は太陽光が入るよう軒も深くしています。屋根には、一昨年の「北海道洞爺湖サミット」でも注目を集めた「かわら一体の太陽光発電システム」をつけることも可能で、お年寄りがゆっくり、快適に過ごせる住宅です。
<これから目指す住宅は?>
地球にも人にとっても快適な住宅を目指していきたい。今年8月に会社の50周年になりますが、ちょうど累積建築戸数200万戸を達成しました。これからも絶えずお客の視点に立ち感謝の念を忘れずに家づくりを続けていきたいですね。