ID : 15333
公開日 : 2010年 3月12日
タイトル
「みやぎ環境税」80億円使途質問集中 論戦大詰め 県議会
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新聞名
河北新報
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元URL.
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/03/20100312t11031.htm
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写真:
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宮城県議会2月定例会で、県が2011年4月の導入を目指す「みやぎ環境税」の論戦が大詰めを迎えている。代表質問や一般質問で与野党の9議員が取り上げ、導入の狙いや使い道、波及効果が少しずつ明らかになってきた。村井嘉浩知事の答弁から全体像を検証する。
税額設定の根拠について、村井知事は「緊急に実施すべき環境施策の事業費を積算すると5年間で120億円になるが、理解が得られる負担水準を検討し、5年間で80億円(を確保する金額)とした」と説明した。
環境税は既に30県が導入済みだが、宮城の個人課税額は1200円で全国最高額となる。「他県は森林環境税で二酸化炭素の吸収源対策が中心だが、宮城はクリーンエネルギー普及にも充てるため、税額は高くなる」という。
質問が集中したのは環境税の使途だ。村井知事は(1)森林機能の強化に35億円(2)クリーンエネルギー普及に35億円(3)環境教育の推進などに10億円―との配分を示した。詳細については「11年度予算に向けて具体化させる」と述べるにとどめた。
森林機能の強化は間伐拡大、県産木材の活用、伐採跡地への植林支援などを想定。クリーンエネルギーの普及は太陽光発電、木質バイオマス、電気自動車、発光ダイオード(LED)照明の利用を支援する。
議員からは「緊急性や優先性に乏しい事業ばかり」との批判も出た。村井知事は「必ずしも新規性は高くはない」と認めつつも、「財政状況の制約で取り組めなかった施策。環境税で初めて実行できる」と強調した。
国は「地球温暖化対策税」の11年度導入を検討中。みやぎ環境税との重複も予想されるが、「その際は踏み込んだ対策となるように、事業費の上乗せや対象拡大で対応する」と語った。
「環境税は知事選公約にない」との指摘もあった。知事はマニフェスト(公約集)に「必要な財源と施策を早急に検討する」と記していたことを挙げ、「財源の一つとして当然、新税導入も意識していた」と説明した。
知事が繰り返したのは、環境税の必要性と導入による波及効果だ。「厳しい経済状況での増税は断腸の思いだが、環境への対応は遅れるほど保全や回復が困難になる。積極的な取り組みを全国に情報発信すれば、クリーンエネルギー関連企業の集積、誘致に弾みがつく」と経済への好循環に期待を寄せた。
[みやぎ環境税]個人県民税均等割(年額1000円)に年額1200円、法人県民税均等割(年額2万~80万円)に税額の10%相当を上乗せする。実施期間は2011年4月から5年間で毎年度16億円の財源を確保し(1)二酸化炭素の吸収力を高める森林機能の強化(2)二酸化炭素の排出量を削減するクリーンエネルギーの普及―などに活用する。