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ID : 15124
公開日 : 2010年 2月21日
タイトル
買い手目線”で考える森林の価値
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新聞名
nikkei BPnet
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元URL.
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/special/20100218/103232/
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元urltop:
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写真:
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国内クレジット制度がスタートし、京都メカニズムで今まで海外に流出していた資金を、国内に還流できるようになった。丸紅は同制度を活用し、山村再生につながる木質バイオマス系の国内クレジットを積極的に買い取っている。山村再生支援センターが開いた第2回山村きぎょうセミナーから、丸紅の野中武司氏の講演を紹介する。
国内クレジット制度で最大の“買い手”

丸紅環境ビジネス開発部 野中武司氏 丸紅が、海外で排出削減を行う「CDM(クリーン開発メカニズム)」事業に乗り出したのは約5年前のことだ。政府が2008年10月に始めた国内クレジット制度には2009年5月から参画している。
 同制度は、京都議定書目標達成のため、政府が国内の排出削減を促進する目的で2008年10月から始めた「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」の制度の1つ。この市場には、企業が自主的に削減目標を設定して進める「試行排出量取引スキーム」の排出枠と、大企業の資金と技術によって中小企業などが排出削減を行う国内クレジット、海外において温室効果ガスを削減する京都クレジット――の3つが流通する。本制度における企業の削減目標の達成は、業界単位の自主行動計画の目標達成に反映され、政府の京都議定書目標達成計画の達成に直接つながることとなる。
 国内クレジット制度には2009年8月末現在、125件の事業が申請されている。うち31件が、国内クレジット制度の最大の“買い手”(共同実施者)である丸紅の案件だ(その後、申請件数は234件に拡大)。
 国内クレジット制度の大きな意義は、今までCDMなどへの投資の形で海外に流出する一方だった資金を、国内に還流できることだ。身近な“国産”クレジットの価値
 丸紅自身も自主行動計画へ参加している。国内統合市場にも参加しているが、国内クレジットは自社の目標達成に使うのではなく、ほかの環境意識の高い企業に転売する予定だ。
 国内クレジット制度の下で削減事業を進めている削減事業者の約半数は、工場などの中小企業である。事業の内容は、125件中74件がボイラーの更新。そのうち28件が、化石燃料から木質バイオマスへの燃料転換事業だ(現在さらに47件のボイラー関連事業が追加、うち16件で木質バイオマスを使う)。木質バイオマス関連事業が占める割合は大きく、発展性もある。丸紅が共同実施者として参画している31案件のうち、17件は木質バイオマスを活用している。
 暖房や温泉用ボイラー燃料や、製材所の木材乾燥用ボイラー燃料を、化石燃料から地元産の木質ペレットや製材端材に転換する事業で、全国各地の地方自治体、学校、高齢者介護施設、森林組合、製材メーカーなどと共同で展開している。
 木質バイオマス系の事業には、CO2削減と地域活性化の2つの意義がある。実際に削減する事業者には、いくらかの売却益が入り、森林整備や山村再生の一助になる。小さな案件でも、地道な排出削減をクレジットという経済価値に換えることに大きな意義がある。
 丸紅は、入手した国内クレジットを、自主的なカーボン・オフセットに使う企業への提供も考えている。これまでカーボン・オフセットに使われてきた京都クレジットには、森林吸収量の増大事業や木質バイオマスへの燃料転換事業など、森林にかかわる活動はあまり含まれていない。また、国内での削減事業は、海外で削減を進める京都クレジットに比べると、利用者からすれば身近に感じられるものだ。
 国内クレジットやJ-VERなど、“国産”の排出削減量や吸収量でオフセットしていくことの価値が今後高まっていくと期待している。これからも山村再生に貢献できる国内クレジットを積極的に調達していきたい。
2009年9月の第2回山村きぎょうセミナーから採録講演タイトル:バイオマス系国内クレジットが望まれる理由
講演者:丸紅 環境ビジネス開発部 先端・新技術チーム チーム長補佐・野中