ID : 14607
公開日 : 2010年 1月 5日
タイトル
耕作放棄地を「山林」に 実態に合わせ県が指定方
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新聞名
信濃毎日新聞
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元URL.
http://www.shinmai.co.jp/news/20100106/KT100105ATI090004000022.htm
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元urltop:
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写真:
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県は耕作放棄が長年続いて実質的に林野化している県内の農地数千ヘクタールを、森林法に基づく「山林」に指定替えする方針を固めた。耕作地として復元を目指すよりも、土地の実態に合わせて森林として整備する方が現実的との判断だ。2010年度から5年計画で耕作放棄地の実態を調査しつつ、山林として扱う方が適当と判断した農地を順次切り替えていく。農林水産省は「都道府県が数千ヘクタール規模で農地を山林へ変更する取り組みは聞いたことがない」としている。
県によると、県内で林野化した耕作放棄地は08年度時点で6626ヘクタールあり、全国で鹿児島県に次いで2番目に多い。来年度からの調査では、このうち農業振興を図る「農用地区域」以外の農地4175ヘクタールを対象に、放棄地に生えている樹種や樹齢を調べ、建築や家具用材として活用できるかなどを検討していく。県林務部は10年度当初予算案に調査費約450万円を要求した。
県林務部は、林野化した農地を指定替えで森林資源として活用するほか、整備を進めて野生鳥獣の出没を抑え、農林業被害を抑える効果を期待。一方、県農政部は林野化していない耕作放棄地に支援策を集中させて耕作地として復元し、農業生産力の底上げを図る。
土地利用について、農地は農振法、山林は森林法で定めているが、林野化した農地はそのままでは営農活動ができず、森林整備をしようにも国の補助対象外になっているのが実情。県林務部は「農業と林業の双方で対応ができず、手付かずのまま放置されている土地が多い」(森林政策課)と説明する。
林野化している放棄地を山林に指定すれば、民有林の森林整備方針を定める「地域森林計画」の対象にでき、林業事業者らが国の補助金を活用して間伐や除伐に取り組める。県森林政策課は「林野化した農地を、里山の森として整備していきたい」としている。