ID : 14490
公開日 : 2009年 12月18日
タイトル
水と緑の地球環境:間伐紙で里山保全 富山のメーカー、寄付つき商品発売
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/select/science/news/20091222ddm012040124000c.html
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元urltop:
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写真:
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人と自然が共存し、多くの生き物をはぐくむ里山。生物多様性を守る空間としても注目される。製紙会社の中越パルプ工業(富山県高岡市)は、紙の購入代金の一部を里山で活動する団体に寄付する企業向け商品「里山物語」を7日に発売した。原料には間伐材が含まれることから、森林整備と生物多様性の保全の両方に貢献できるユニークな用紙だ。
「里山物語」は、同社が製造する4種類の印刷用紙を購入すると、1キロあたり2円がNPO法人「里山保全再生ネットワーク」(神奈川県大磯町)に寄付される仕組み。このNPOを通じて、里山保全に取り組む団体へ資金提供される。A4のコピー用紙に換算すると2500枚で20円が寄付される計算だ。
名古屋市で来年10月に開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を控え、企業の間でも生物多様性への関心が高まっている。
同社の姥島文夫・上席執行役員は「生物多様性へのかかわり方を模索している企業は多い。紙は事業活動では必ず使う。普段使っている紙を『里山物語』に替えるだけで生物多様性保全に貢献できる」と話し、カタログや社内報などへの利用を見込んでいる。
購入企業は寄付金を受けた団体に関する情報提供を受けるほか、交流もできる。この商品を企画し、CSR(企業の社会的責任)担当者の交流会「毎日Do!コラボ」を運営する「イーソリューション」(東京都千代田区)の市瀬慎太郎社長は「寄付金がどのように使われたかを明示する。社員が里山に出かけて団体と活動するなど、新たな物語が生まれるはずだ」と期待する。
15年ほど前から里山の再生活動に取り組んでいる同ネットワークの岩間敏彦代表理事は「生物多様性の観点から里山保全に絞って寄付するというこれまでにない試み。荒廃が進む里山を救う新しいシステムになってほしい」と話している。【佐藤岳幸】=原則火曜日掲載