ID : 14467
公開日 : 2009年 12月20日
タイトル
県内木材価格 過去最低 60年代前半並み 山荒れる懸
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新聞名
信濃毎日新聞
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元URL.
http://www.shinmai.co.jp/news/20091220/KT091219FTI090013000022.htm
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元urltop:
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不況で住宅建築が冷え込み、県内の木材市場で原木の販売量が減少、木材価格が県の統計がある1960年代前半の水準まで下落していることが19日、県林務部のまとめで分かった。伐採業者が赤字を避けるため、山から切り出す量を絞らざるを得ない悪循環に陥っているのに加え、最近の円高傾向で価格が割安になる外国産材のシェアが高まるのでは-との懸念も。間伐しても切り出せない木が増え、山が荒れることを心配する声が高まっている。
県信州の木振興課のまとめによると、最新データである10月の県内の木材価格(建築用材)は1立方メートル当たり、カラマツ1万800円、スギ1万1400円、ヒノキ1万9700円と、前年同月より4300~5000円安い。県の統計がある61年のカラマツ1万370円、スギ1万2100円を下回り、過去最低水準にある=グラフ。アカマツも10月の価格は7500円(前年同月比5500円安)で、61年の1万510円を割り込んだ。
このため「搬出すればするほど赤字になる」と、長野森林組合(長野市)の十十木(ととき)謙一郎専務理事。1立方メートル当たりの木材の搬出コストは9千~1万2千円かかるため、今年は搬出を1割絞り、価格上昇時には山から木材を出せるよう作業道の整備に力を入れている。
こうした影響を受け、扱っている木材のうち民有林からが9割を占める中信木材センター(安曇野市)では今月、敷地内に積まれた原木の山の数が800ほどで、前年の同時期の半分程度。葉が落ちて林間の見通しが良くなる冬場は伐採の適期で、例年なら敷地を埋めるほどに原木が集まるはずだが、空きが目立つ。
1~10月の同センターの原木販売量は約2万7千立方メートルで、前年同期間の85%程度。「不景気で需要が伸びず、伐採業者に出材を頼んでもなかなか原木が集まらない」と中沢隆樹所長は嘆く。
県森林組合連合会(長野市)によると、国の二酸化炭素(CO2)吸収源対策もあって、国有林整備のために切り出される木材自体は多い。価格低迷の影響を大きく受ける民有林は搬出がはかどらず、松本広域森林組合(安曇野市)は今年の中信木材センターへの出材が昨年より2割ほど減少。同組合の増田富重参事は「間伐量が増える中、木材もどんどん流れないと山はきれいにならない」と悩む。
全国森林組合連合会(東京)は「円相場が高止まりしており、価格が割安になる外材のシェアが高まることも国産材にとって懸念材料。バイオマス(生物資源)エネルギーの活用など新たな木材の使い道が生まれ、需要が増えないと、国産材の動向は先が見通せない」としている。