ID : 14207
公開日 : 2009年 12月 2日
タイトル
坂本龍一さんが代表を務める「more trees」の植林活動
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新聞名
IBTimes
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元URL.
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/091201/45447.html
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元urltop:
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写真:
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慈善活動における海外と日本の温度差
2009年11月、米慈善団体「The Giving Back Fund」は2008年の公的記録を基に、寄付金額が多いセレブリティのランキングを発表しました。1位は昨年9月に亡くなった故ポール・ニューマンさんで2100万ドル(約18億7000万円)、2位はアンジェリーナ・ジョリーさんとブラッド・ピッドさんで1340万ドル(約12億円)、3位はメル・ギブソンさんで650万ドル(約5億8000万円)でした。俳優ポール・ニューマンさんは熱心な慈善活動家としても知られ、自身が設立した食品会社の利益100%を慈善事業に寄付、生涯寄付金額は約2億ドル(約178億円)以上とされています。
毎年発表されるこのような寄付額ランキングからは、欧米では慈善活動が誰にとっても興味がある話題の1つであり、またその人の“本当のセレブ度”を測る1つの指標とされていることがわかります。財団や慈善団体の設立、莫大な寄付金、メディアを使っての華々しいアピールなど、海外のセレブリティの慈善活動は本当に積極的で、また彼らの生活に根付いたものです。メディアも頻繁に彼らの活動を取り上げ、話題を盛り上げることに一役買っています。
一方、日本はどうでしょうか。慈善活動に対する一般的認識が浸透している欧米に比べて、日本ではまだまだ興味を持つ人自体が少なく、どのような種類の活動があり、何ができるのかを知らない人が多いのが実情です。そのため慈善活動を行っている人がいても活動がメディアで取り上げられることそのものが少なく、寄付額がランキングで発表されることもありません。海外からの情報が圧倒的に目立っているため、日本のセレブたちはあまり慈善活動に積極的ではないのでは?と誤解されても仕方がないように思います。しかし、日本の有名人でも慈善活動を積極的に行い、自身のライフワークとしている人は多々います。今回YUCASEE(ゆかし)メディアは、その中でも特に慈善活動に深く関わっている芸能人の方々の活動に注目しました。
■坂本龍一さんが代表を務める「more trees」の植林活動
「more trees(モア・トゥリーズ)」は音楽家の坂本龍一さんが代表を務める社団法人です。2007年7月に、坂本龍一さん、細野晴臣さん、高橋幸宏さん、中沢新一さん、桑原茂一さんの5名の発起人および各界から100名以上の賛同人を得て設立されました。「もっと木を」というその名前の通り、国内外で森林整備、植林、森林保全活動を展開しています。
森には二酸化炭素を吸収・固定する機能(カーボンオフセット)や、水を蓄える機能など多くの機能があります。しかし大規模な森林伐採によりそれが正常に働かなくなり、地球温暖化を含む世界的な環境破壊へと繋がっています。more treesは、森の本来の機能を回復・再生させるための森づくりがコンセプト。また森が持つ機能を多くの人に知ってもらうことも目的の1つです。
日本国内では自治体や民間と連携した森林再生を。海外ではNGOや地域と連携しながら、熱帯林やマングローブの森の再生・保全、砂漠の緑化・再生など様々なプロジェクトを行っています。
■「ルイ・ヴィトンの森」プロジェクトが長野でスタート
現在フィリピンの他、国内では高知県、北海道で森林再生プロジェクトを展開しているmore trees。さらに2009年9月から国内4番目となる新しい森林再生プロジェクトとして、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」とコラボレートしたプロジェクトがスタートしています。長野県・小諸市の浅間山麓に誕生した、その名も「ルイ・ヴィトンの森」です。
これは、more treesをルイ・ヴィトンが約1千万円を投資して支援する形で、約104ヘクタールの森を3年間かけて整備していくプロジェクト。長野県小諸市で9月7日に行われた調印式は、坂本龍一さんとルイ・ヴィトン5代目当主のパトリック・ルイ・ヴィトンさん、小諸市の芹沢勤市長が参加して行われました。ルイ・ヴィトンというブランド名がつくことで、より多くの人に注目され、慈善活動に興味がない日本人の目にも映るようになります。このようなラグジュアリーブランドとのコラボレートは、資金援助という面のみならず、一般的認知を高めるという意味で大きな意義があると言えます。
■赤十字広報大使として各国を飛び回る藤原紀香さん
日本人女優としては、赤十字広報大使としても活躍する藤原紀香さんが、特に積極的に慈善活動を行っています。兵庫県出身・神戸育ちの藤原さんは、阪神淡路大震災で友人や親戚を亡くしました。震災時に世界中・日本中の人々から援助を受け、そのおかげで復興できたという経験を通して、自身も慈善活動へ興味を持つようになったそうです。現在は女優の仕事の合間をぬい、プライベートの時間を割いて慈善活動を行っています。
藤原さんは2007年に赤十字広報大使に就任。バングラディシュのサイクロン被災地の復興救援現場を訪問したり、ケニア共和国でケニア赤十字社が展開している保健衛生事業を取材したりしています。また「JHP・学校をつくる会」とともにカンボジアの子供たちを支援するための基金「JHP・藤原紀香カンボジア子ども教育基金」を設立。ベトナム戦争の地雷で手足を失った子供たちや、学校に通えない子供たちを援助し、2008年春にはカンボジア・プレイヴェン県に小学校を建設しました。
この他、「セーブ・ザ・チルドレン」と基金を設立してアフガニスタンの子供たちを援助。アフガニスタンやカンボジアを訪れた際に撮った写真で写真展や講演会を開催するなど、精力的に活動を行っています。ただ寄付をするだけではなく、仕事の合間をぬって現地に赴き、現地の子供たちとコミュニケーションをとり、それを日本に持ち帰って多くの人に各国の現状を伝えていく。海外のセレブのように生活に慈善活動を組み込みライフワークとしている点が、彼女の活動の特徴です。彼女のように世界規模で活躍する慈善活動家が、今後日本の芸能界でも増えてくるかもしれません。そうすれば、一般の人々の慈善活動への意識も、より親しみを持ったものに変化していくのではないでしょうか。
■ミスチルの櫻井和寿さんらの環境支援プロジェクト「ap bank」
この他には、1984年からユニセフ親善大使として活動する黒柳徹子さん、2006ミス・ユニバース・ジャパンでWFP(国連世界食糧計画)のオフィシャル・サポーターとして活動する知花くららさん。慈善団体「TAKE ACTION FOUNDATION」を設立し、サッカー通じて世界で支援活動を行うサッカー元日本代表・中田英寿さんなどがあげられます。
また、音楽プロデューサー小林武史さんとMr.Childrenの櫻井和寿さん、坂本龍一さんの3人は自己資金をもとに非営利組織「ap bank」を設立し、環境問題に関する様々なプロジェクトへの支援を行っています。若い世代では、プロ野球選手のダルビッシュ有さんが、途上国の水供給のための基金「ダルビッシュ 有 水基金」や「ダルビッシュ有 子ども福祉基金」を設立しています。
派手な海外メディアの報道にばかり目が行きがちですが、日本人の著名人も多くの方が、様々なきっかけから自身と繋がりがある分野で慈善活動を行っています。日本は欧米に遅れをとっていますが、これから本格的にチャリティーのムーブメントが起こるだろうと言われています。日本のセレブの間でも、慈善活動がファッションやステイタスの1種として広まり、真のセレブリティである証として認知される日は近いのではないでしょうか。