ID : 14086
公開日 : 2009年 11月18日
タイトル
京都・嵐山の森衰弱、カエデや桜の植樹育たず
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20091118-OYT1T00739.htm
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元urltop:
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写真:
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紅葉シーズンを迎えた京都・嵐山で、山を彩るカエデや桜などの衰弱が目立っている。
鎌倉時代に吉野山(奈良県)の桜を移植して以降、長年の植栽で景観が形成されたが、明治以降は手入れが行き届かずに適応力の強い常緑広葉樹が茂り、カエデや桜の若木が育ちにくくなっているためだ。地元団体などは「このままでは嵐山の風情が失われる」として、対策の検討を始めた。
林野庁京都大阪森林管理事務所(京都市)によると、カエデや桜の衰弱が確認されたのは、嵐山・渡月橋の南西に広がる約60ヘクタールの森。一帯は13世紀末、亀山上皇が数百株の桜を吉野山から移して植えてから、桜や松などが頻繁に植えられた。近くの天龍寺の寺領で、僧や信徒らがたきぎを調達し、日常的に間伐も行われた。
ところが、明治初期の国有林化などで人の手が入らなくなり、アカガシなど常緑広葉樹の植生が広がって、森の中に日光が十分に差し込まなくなった。
地元では、嵐山保勝会を中心に1982年から、桜とカエデを植樹してきたが、成長は今ひとつ。2000年以降に植えた桜、カエデ各80本を調べると、桜は33本、カエデは8本が枯れていた。付近は鳥獣保護区で、鹿や猿などが若木を食べる「獣害」も深刻という。
今年6月、同事務所の呼びかけで、保勝会のメンバーや研究者らでつくる意見交換会が発足。“森の再生”に向け、植生、景観などの観点から提言をまとめる。
保勝会の田中克彦専務理事は「植生は国有林周辺でも変化している。嵐山の景観を残すため、多くの人に現状を知ってもらい、再生につなげたい」と話している。