ID : 14029
公開日 : 2009年 11月16日
タイトル
【貢献する郵便】時代の要請 「オフセット」年賀登場
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新聞名
フジサンケイ
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元URL.
http://www.business-i.jp/news/culture-page/news/200911160007a.nwc
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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郵便事業会社(日本郵便)の年賀はがきに2008年用から「カーボンオフセット年賀」という新シリーズが加わった。地球温暖化や気候変化への対応に焦点を絞って寄付するのが狙い。通常の年賀はがきに比べ、5円割高の55円で販売されているが、その5円が、風力発電事業などに寄付され、地球温暖化防止に役立てられる仕組みとなっている。
10年用に発売された年賀はがきは、お年玉の番号が記載されている欄の中央に、緑に白字で「カーボンオフセットはがき 地球温暖化防止はがき」と記載されている。08年用に発売された初のカーボンオフセット年賀の裏面には、「寄付金は…日本の温室効果ガス排出削減目標に貢献します」。このように書かれていた。
◆排出量取得団体に配分
寄付金などによって造られた風力発電設備 現在、家庭において日本では1人当たり年間1300キログラムの二酸化炭素(CO2)を排出しているとされるが、その排出量を、金額に換算すると5200円。計算上は、5200円分のCO2排出権を購入すれば、二酸化炭素(カーボン・ダイオキサイド)を排出しないニュートラルな生活者となることとなる。日本郵便は、個人が排出権を直接購入する変わりに、年賀購入で集まったお金を排出権の取得・償却業務を手がける環境団体(非営利団体)に助成金として配分している。これら環境団体が取得した排出権は日本国の管理に移り、最終的に償却口座に移され、償却が完了する仕組みとなっている。
08年度のオフセット年賀の販売枚数は、約1500万枚だった。購入者から集まった7500万円が寄付されたが、郵便事業会社は、社会・環境貢献を目的にさらに同額を寄付。合わせて、1億5000万円が寄付された。これは、CO2に換算すると3万8175トン、約3万人がニュートラル生活者となったことになる。
◆国内の省エネ事業も対象
では一体、助成金を得た環境団体は、どこで排出権を買うのか。
08年度の場合においては、途上国の国連認証済みプロジェクト(CDM事業)として、国際環境技術移転研究センターのアルゼンチン、韓国における風力発電へ、環境リレーションズの韓国における風力発電、ロハスクラブのブラジルにおける木質バイオマス発電に寄付金が使われた。09年度は、国内の省エネ事業なども対象となり、横浜開港150周年記念カーボンオフセット事業などにも適用。助成先が広がった。
現在は、スーパーなどでも売り上げの1%を排出権の取得に回すカーボンオフセット付きエコバッグなども出ているほか、旅行会社も旅行時にかかる鉄道などのCO2排出量を、1人当たりに換算し、旅行代金に上乗せする「CO2ゼロ旅行」も出ている。
「CO2排出は有料」と発想する時代が到来したともいえそうだ。