ID : 13803
公開日 : 2009年 11月 2日
タイトル
木の家見直そう 神埼のNPO法人
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://mytown.asahi.com/saga/news.php?k_id=42000000911020005
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元urltop:
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写真:
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建築を学ぶ大学生らを対象にした木造住宅の公開設計コンペが1日、佐賀市民会館で開かれた。林業の不振で荒れるに任せる山の森を再生するため、日本の木の家の素晴らしさを見直そう、との狙いで、神埼市のNPOが始め、今回5回目。受賞作の図面を元にした家も2軒建つなど、試みは実を結びつつある。(市川雄輝)主催は、県内外の山林所有者や製材業者、自然保護に関心を持つ市民らでつくるNPO法人「森林(も・り)をつくろう」。神埼市脊振町で木材の伐採・販売を営む家庭に育った佐藤和歌子理事長(30)らが05年2月に設立。森の役割を紹介する環境教室を開いたり、植林・育林に取り組んだりする一方、木造住宅普及のためのPR活動も手がけてきた。 その柱が「新・木造の家設計コンペ」。山が荒れるのは国産材の価格低迷で林業撤退が相次ぎ、山に手が入らなくなったから。ならば、耐震性やぬくもりなど木の良さを理解する若い建築家を育て、国産材の消費拡大に向けた種をまこう。そんな願いから4年前、募集を始めた。 課されるテーマは、伝統構法による木造一戸建て住宅の設計。優秀作品は同NPOが施主を募り、実際の建設を目指す。学生の図案をもとにした住宅は、これまでにもベテラン設計士らの助力も得て、武雄市などで完成している。 5回目となった今回、全国の大学生・大学院生らから過去最多の37作品が寄せられた。一次選考に残った8組が、審査員や聴衆約100人の前で図案を披露、狙いを紹介した。 県内の民家に特徴的な「くど造り」の構造を取り入れたり、細い間伐材を束ねて柱にしたり、学生たちの工夫は様々。焼杉の板壁や格子などを巧みに取り入れた日本女子大大学院修士1年、布留川(ふ・る・かわ)真紀さん(22)の作品「こぼれでるすまい」が最優秀賞に輝いた。布留川さんは「木の素材を生かせる設計士を目指したい」と話した。 木造住宅の耐震性に詳しく、審査委員長も務めた鈴木祥之・立命館大教授によると、大学の建築教育は西洋式の技法中心で、木造建築を学ぶ場は少ない。このため、応募者の中には、木材や木造住宅について独学で知識を得て臨む学生も多いという。ki 佐藤理事長は「回を重ねるごとに、木という素材への理解度も高まっている。入賞作品が実際に形になる日が楽しみです」と話した。