ID : 13800
公開日 : 2009年 11月 2日
タイトル
水と緑の地球環境:木材のCO2量認証 国産の消費拡大に新制度-
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/life/today/news/20091103ddm012040059000c.html
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元urltop:
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写真:
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地球温暖化防止と国内の森林再生を促進させる新たな制度「カーボンストッククレジット」(二酸化炭素固定認証制度、CSC)が注目を集めている。東京都港区が創設を決めたこの制度は、国産材(用材)が貯留する二酸化炭素(CO2)に着目し、その量を認証することで国産材に付加価値をつけ、消費を促す試みだ。
木はCO2を吸収して、炭素として貯留している。CSCは区内のビル建設などで使われる国産材について、体積や樹種を勘案してCO2の貯留量を計算。第三者機関の審査を経て港区が認証する。
自治体独自でCO2の貯留量を認証する制度は、高知県などが県産材を対象に導入しているが、切り出された木材すべてを対象にした制度は国内にはなかった。同区環境課の早藤潔係長は「木材を認証すると貯留量が明確になり、CO2削減を目指す会社のオフィスビルなどにも使いやすくなり、CSR(企業の社会的責任)としての利用も広がるはずだ」と期待する。
CSCには、森林資源を持つ自治体も大きな期待を寄せる。CSCの公表などのため、10月13日に港区内で開かれた会合には、北海道から九州までの15市町村が参加した。北海道下川町の春日隆司・地域振興課長は「森林を対象とするカーボンオフセットに比べ、(同町のように加工所がある所では)CSCで加工のための金が地元に回り、一層、森林再生や地域の活性化にもつながる」と話す。
港区では専門家による委員会を今月設立し、年度内にも制度を完成させ、来年9月ごろの運用開始を目指す。
委員長には、CO2を含む温室効果ガスの削減・吸収量に関する環境省の「オフセット・クレジット」の設計にかかわった日本大法科大学院の小林紀之教授が就く予定。小林教授は「大消費地である東京の自治体が、国産材に新たな価値を付けることは利用拡大につながり、波及効果も大きい」と話している。