ID : 13704
公開日 : 2009年 10月25日
タイトル
資生堂 ツバキ植林 事業と一体化目指す
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新聞名
フジサンケイ
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元URL.
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200910260012a.nwc
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元urltop:
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写真:
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資生堂は、和歌山県が進める森林保全事業「企業の森」に参加し、同社の商標「花椿」にちなんでヤブツバキの育成を始めた。いずれはツバキ油を採って、ヘアケア製品の原材料としても使う計画もある。CSR(企業の社会的責任)は利益を社会に還元するという色合いが濃いが、同社は事業としても継続することで環境対策を拡大する手法を模索している。「企業の森」への参加で、そのヒントを得たい考えだ。
「企業の森」事業は2003年3月に始まり、現在51社・団体が参加。計181.9ヘクタールで植林している。資生堂は今年5月、地名に「ツバキ」とある同県白浜町椿の伐採跡地1.7ヘクタールにヤブツバキ約2700本を植え「資生堂 椿の森」と名付け、10年間にわたり木を育てる。森林保全は二酸化炭素(CO2)吸収、伐採地の土砂崩れ防止、水源の涵養(かんよう)といった効果もある。普段の手入れは地元の森林組合に委託するが、社員や家族も作業に参加することもある。
和歌山県側では環境保全以外に、資生堂社員や家族と地元の人たちの交流、宿泊などによる経済効果、森林組合の雇用維持も期待している。資生堂はこうした事業に参加することで、企業イメージの向上にもつながる。社会貢献に参加することで社員の士気も高まると期待している。
5年後には、実を収穫してツバキ油を採取できる見込みだ。高純度のツバキ油を配合したヘアケアブランド「TSUBAKI」が大ヒットしていることから、椿の森で収穫したツバキ油が量や質で一定以上の水準をクリアできれば、製品に生かすことも考えているという。
期待がかかる「企業の森」事業だが、和歌山県の担当者は「景気悪化で参加企業が減るかもしれない」と先行きに不安を隠さない。候補地は用意しているものの、CSRが単に企業収益の社会還元と位置づけられたままでは、先細りになる懸念もある。こうしたことから、資生堂の環境対策などCSR事業を担当する岩田喜美枝副社長は、「事業活動とCSR活動が一体となるようにしたい。そうすることが企業価値向上や持続的な発展に不可欠だ」といい、新たな展開も構想中だ。